294,「仕事を選ぶと貧乏になる?」

2005/11/18

こんにちは。坂口昌章です。ふとした時に真実に気がつくことがあります。
私は、仕事を選ぶ人が貧しく、仕事を与えられる人が豊かであることが多い
ことに気がつきました。(あくまで確率の問題ですが)

日本は起業家が少ないと言われますが、起業家は仕事を選ぶ人です。それよ
りも、サラリーマンになって与えられた仕事をこなす方が豊かになる可能性
が高いのです。私は「嫌だねァ」と思います。そう思うことそのものが駄目
なのかもしれません。日本人が国際ビジネスに対応できないのは、このあた
りにも根本的な問題があるのではないでしょうか。



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「仕事を選ぶと貧乏になる?」

官僚は次々と部署を異動していく。2〜3年毎に異動を重ねながらキャリア
を積むのである。大企業のサラリーマンも同様だ。会社の意向で仕事が決め
られる。それに文句を言わず、与えられた仕事をこなすことが評価されるの
である。

一方で、自分のやりたい仕事しかやらない人種がいる。例えば、私もその一
人。専門家への道を選び、キャリアを積むために、自ら転職を繰り返した。
最終的に独立して、自分で会社を立ち上げた。お笑い芸人や演劇人も同様で
ある。自分のやりたいことをやるために、バイトしたり、貧乏したりしてい
る。

フリーターやニートというのも、基本的に同じ性格を持っているように思う。
嫌いなことはやりたくない、好きなことだけしたいという点では共通してい
る。

私は自分で仕事を選ぶ人が好きだし、自分もそうありたいと考えてきた。サ
ラリーマンにはなりたくなかった。私は自分で仕事を選ぶ人を評価するし、
組織の部品のように働いている人を軽蔑していた。

しかし、最近気がついたことがある。日本では与えられた仕事をこなすこと
が評価され、自分で好きなことをやっている人は評価されないということだ。
なぜなら、仕事の世界では、組織が個人を優先する。仕事とは組織で取り組
むもの、という常識が存在するのだ。当然ながら、組織のメンバーが仕事を
担当する。その仕事ができるか否かではない。組織のメンバーであることが
優先されるのだ。組織の絆は、能力主義を超えているのだ。

組織の論理からいけば、与えられた仕事を何でもこなせる人材が最も役に立
つ。個人でできなければ、組織で取り組めば良い。組織の論理から言えば、
専門家は下請けで使えばいい。

最も良い例が官庁であり、官僚だろう。官僚は勉強熱心で頭の良い素人集団
である。その世界で一生、生きていくという意識はない。あくまで素人だ。
その素人の官僚が素人の業界リーダーを通じて、業界をコントロールしてい
る。業界を構成するのも組織であり、多くの組織のトップはゼネラリストで
あり、専門家ではない。素人である。現在の日本では、素人が玄人を支配し
ている。素人が有利なのは当然である。

最近注目を集めているITベンチャーの経営者も、仕事の分野にこだわらな
い。金になることならば、次々と新しい分野に投資していく。仕事を選ぶの
ではなく、お金の流れを読み、お金の流れを推進するように動くのである。
与えられた案件を次から次へとこなしていくという意味では、やはりゼネラ
リストなのだろう。

仕事を選ぶ人は貧乏している。好きなことだけやるというのは、お金が好き
な場合にだけ有効なようだ。そうでなければ、お金になる仕事は組織が独占
してしまう。やはり、就職して、上司の言うことを聞くことが大切なのだろ
う。それで生活は安定するのだ。

それにしても、こんな単純な事実に気がつくまでに48年も掛かるとは・・・。
今更、引き返せないしね。


執筆担当:
有限会社シナジープランニング( http://www.j-fashion.net/ )
( http://j-fashion.cocolog-nifty.com/ )
代表 坂口昌章
文化服装学院客員教授
ジャパンクリエーション・総合コーディネーター
文化女子大学特別講義講師 他歴任