279,クリエーションとシステム 2005/05/20
みなさん、こんにちは。坂口昌章です。 =================================== 「クリエーションとシステム」 ドイツという国はシステム化が得意だと思う。論理的な組み立てが得意であ り、ドイツ製機械の性能も良い。ドイツ人はエンジニアに向いているように 思える。 反面、イタリア人は、ドイツのような規格化は苦手だし、機械の性能も不安 定だが、デザインの素晴らしさと個人の手作業の確かさには定評がある。彼 らは、システムよりもクリエーションが得意だ。生まれながらのアーティス トの性質を持っているようだ。 日本人は、イタリア人のような無から有を生み出すようなクリエーションは 弱いが、改善や改良により完成度を高めていく職人気質を持っている。ドイ ツ人のようなシステム的な発想はあまり得意ではないが、阿吽の呼吸による 集団活動は得意だ。暗黙の了解で相手の立場を尊重し、自分のポジションを 確認し、自主的に作業することが可能である。 逆に言うと、日本人はシステムとクリエーションがあまり得意ではない。シ ステムがなくても単一民族であるために互いが理解できる。集団行動や協調 性が重んじられており、学校でも団体行動の訓練だけは熱心に行っている。 無から有を生み出すクリエーションも弱い。歴史的に日本では新しいモノは 海外からやってくる。日本で行う作業は、その新しいものをブラッシュアッ プして完成度を高めることだった。日本人のアーティストやデザイナーが海 外で高い評価を受けるケースも多いが、その多くは個人のクリエーションと いうより、西欧とは異質の日本の伝統文化や美的センスがアバンギャルドな クリエーションとして評価されたものだ。 私は日本のファッションビジネスを国際的に通用させるには、クリエーショ ンとシステムが不可欠と考えている。国際的なファッションビジネスでは、 クリエーションのシステム化されたマネジメントと、クリエイティブなシス テム開発が求められるのだ。 クリエーションを突き詰めていくと、飛躍や閃きにつながっていく。最もシ ステムとは縁遠い要素である。ある意味で、クリエーションをビジネス化す るということ自体が無理なのかもしれない。ファッションはシステム化でき ないとする説も存在するほどだ。 それでも、ファッションビジネスではクリエーションをシステム化する試み を放棄するわけにはいかない。マーチャンダイジング企画という作業では、 まさにシステムとクリエーションがせめぎ合う。クリエーションを枠組みで 管理しようとする作業と、その枠を壊してクリエーションしていく作業のぶ つかり合いだ。イタリアのアパレル企業を取材した時も、「最終的な企画の まとめの作業を見たら、クレイジーだと思うだろう」と語っていた。 システムが勝るとファッションビジネスは停滞する。売筋追求が過ぎると、 商品に勢いがなくなり、自由な発想が阻害されていく。組織というシステム そのものでさえ、クリエーションを阻害すると言える。 反対に、システム的なマネジメントやシステム的な発想が欠如すると、ビジ ネスは安定しない。ビジネスは個人に依存し、企業の中にノウハウが蓄積さ れることもない。クリエイティブな分野を担当するスタッフは、自分の既得 権を守るためにも、企業のシステム化には反対しがちである。クリエーショ ンは個人の中に存在するし、個人が決定し、管理する以外の方法はないのも 事実だ。 今後、このクリエーションとシステムについて、様々な確度から考えてみた い。 執筆担当: 有限会社シナジープランニング( http://www.j-fashion.net/ ) ( http://j-fashion.cocolog-nifty.com/ ) 代表 坂口昌章 文化服装学院客員教授 ジャパンクリエーション・総合コーディネーター 文化女子大学特別講義講師 他歴任 |
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