273,中国のアパレル業界に必要な厚み

2005/04/08

みなさん。こんにちは。坂口昌章です。
中国では反日の嵐が吹き荒れているようです。こうした動きもまた、中国の
急激な経済成長の反動と言えるかもしれません。経済格差、所得格差が拡大
し、対外的な問題に民衆の意識を振り向ける必要があるのでしょう。政治に
熱くなる人がいる一方で、経済的にも非常に熱いのが中国です。しかし、目
先の金に目が眩んでは継続的な成長は難しいでしょう。日本はあまりにも社
会主義的であり、中国はあまりにも資本主義的です。今後はお互いに歩み寄
りが必要だと思います。

さて、私は今、中国の人材育成の可能性を探っています。ところが、これが
非常に手ごわい。最終的には、働く人、学ぶ人の意識の問題に行き着きます。
日本人がやるべきことは多いですよ。
 


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「中国のアパレル業界に必要な厚み」

中国は急激な経済成長により、日本とは全く異なる発展のプロセスをたどっ
ている。日本ではまず製造業を基盤として成長した。そのため日本企業の社
員は企業への忠誠心も厚く、集団行動に優れていた。中国も世界の工場と言
われるように、一見、製造業が基盤であるかのように見える。しかし、同時
に株式投資や不動産投資も過熱しており、目先の利益に追いかける傾向が強
い。

中国のアパレル業界やアパレル企業が人材育成をしようにも、企業や職業へ
の帰属意識が弱いために人材の流動化が激しい。短期的、個人的に見ればそ
れでも良いのかもしれないが、産業基盤が軟弱なままで投機的な方向に走れ
ば、為替の変動や投機マネーの行方次第で経済成長が停滞する可能性も出て
くる。

中国を見ていると、私は日本の産地問題がそのまま移転していると感じる。
リスクの少ないOEM生産に依存し、自立したビジネスを展開できないので
あれば、最終的に利益を得るのはビジネスの主導権を握っている外国企業で
ある。即ち、ブランドホルダー企業であり、顧客に近い小売流通企業である。

中国も経済の転換期を迎えようとしている。内需が高まり、紳士服中心から
婦人服へとアバレル産業の中心が移動するだろう。ベンチャー創業も盛んに
なるに違いない。こうした背景を考えると、短期的な利益追求ではなく、中
長期的な人材育成やビジネスモデルの構築が必要であることは間違いない。

特にファッションビジネスにおいては、大企業偏重ではなく中小企業の発展
が不可欠である。元来、ファッションという分野は大企業だけでは成り立た
ない。大量生産だけでなく、手工業的な創作活動の厚みが必要なのである。
日本にはその厚みがある。そこに日本のアパレルが世界市場で勝負できる可
能性があるのだ。日本の中小繊維製造業者が完全に淘汰されれば、日本の大
手アパレルの強みも半減してしまうだろう。

中国の中小企業には日本のような厚みがない。大企業優先の産業政策であり、
質より量を追求している。私は中国のアパレル企業には厚みが必要であると
考えている。その方策として、一つには人材育成が必要であり、もう一つに
は日本の中小企業との連携が不可欠だろう。逆に、日本の中小製造業者の生
き残りにも、日本企業だけでなく中国企業との連携という方法もあり得ると
思う。全てがアジアスケールで動いて行く時代なのだ。
 
 
執筆担当:
有限会社シナジープランニング( http://www.j-fashion.net/ )
( http://j-fashion.cocolog-nifty.com/ )
代表 坂口昌章
文化服装学院客員教授
ジャパンクリエーション・総合コーディネーター
文化女子大学特別講義講師 他歴任