272,見本市の国際化を恐れるな

2005/04/01

みなさん、こんにちは。坂口昌章です。
ライブドアの堀江社長が日本中を揺るがしています。私が恐れるのは、日本
人が保守化を強め、新しい時代への対応に遅れることです。

実は、テキスタイル業界にも同様の危惧を感じています。JC(繊維総合見
本市ジャパン・クリエーション)の国際化は以前からの懸案ですが、ここに
来てむしろ保守的な意見が強まっています。気持ちは分かりますが、ここは
大人の判断をしていただきたい。自社や周囲の意見ではなく、日本のテキス
タイル産業という大きな視点とビジョンを持っていただきたいと切に願うの
みです。

お願いだから、日本の可能性を狭めないでください。日本がアジアの中核と
してのポジションを保つにはどうしたらいいのかを真剣に考えていただきた
いと思います。


==================================

「見本市の国際化を恐れるな」

ライブドアの堀江社長の活躍で日本が揺れている。改革には現状否定が必要
であり、現状否定ができるのはアウトサイダーである。進化は中央から起き
るのではなく、必ず周辺から起きるのだ。

既存の体制が揺らぐことは、既得権を持つ人に恐怖心を抱かせる。そして二
つの行動パターンが見られる。一つは、変化に対応すべく自己変革に取り組
むこと。もう一つは、より保守性を強め、内側を向いて頑になることである。

時代の変化に対応するには、自己変革しかない。自己を変えずに時代を変え
ようとする試みが成功する可能性は著しく低いのだ。

繊維アパレル産業は国際化している。これに対応するには、業界も企業も個
人も国際化するしかない。その上で、イベント、展示会、見本市も国際化す
ることが必要だ。

しかし、テキスタイル業界の一部は保守化を強めている。国際化が進んで大
変だからこそ、日本の見本市を海外に開放するのではなく、門戸を閉ざして
小さく生き残ろうという発想である。しかし、そこに将来性があるだろうか。
若者が魅力を感じて参入する産業になりうるだろうか。資本家が成長の可能
性を認め投資するだろうか。

日本の見本市が門戸は閉ざしたら、国際化した日本企業は海外展に出展する
しかない。国際化したバイヤーも来なくなるだろう。ますます入場者は減少
を続け、最終的にはかつての産地展のように儀礼的な場になるに違いない。

北京も上海も香港もソウルも台北もバンコックも国際的な見本市を目指して
いる。彼らは、海外企業の出展誘致に努力を惜しまない。ビジネスチャンス
を求める者は、国際的な見本市に行くしかない。実際に今年の香港ファッシ
ョンウイークの日本人来場者は増加に転じているのだ。

仮に上海がアジアのファッションコンベンションの中核として国際的に位置
づけられれば上海にはますますビジネスチャンスがあふれることになる。日
本人の若手デザイナーも東京ではなく上海で作品を発表するようになるだろ
う。日本人のグラフィックデザイナーやテキスタイルデザイナーも上海で活
躍するようになるかもしれない。

日本のテキスタイル業界よ。門戸を開放することを恐れてはならない。日本
市場は既にフルオープンであり、見本市だけを閉ざしても何の効果もない。
見本市とは元々オープンな取引を基本としており、それが嫌ならば出展しな
ければいい。見本市を閉ざすことは、そこで勝負したい企業のチャンスを奪
うことになる。見本市は出展者のものだけではない。バイヤーのものでもあ
る。国際化しているバイヤーの利便性を考えるならば、見本市そのものを国
際化するしかないのだ。

それでもドメスティックな生き方を選ぶのであれば新たな国際見本市を企画
するしかない。そのどちらに経済効果があるのか、どちらに公的資金を投入
すべきなのかを議論しなけれはならないだろう。


執筆担当:
有限会社シナジープランニング( http://www.j-fashion.net/ )
( http://j-fashion.cocolog-nifty.com/ )
代表 坂口昌章
文化服装学院客員教授
ジャパンクリエーション・総合コーディネーター
文化女子大学特別講義講師 他歴任