244,コーポレート・キャラクターの提案

04/08/27

みなさん、こんにちは。坂口昌章です。
今回はちょっと視点を変え、コーポレート・キャラクターという概念を提案
します。

このコンセプトに興味を感じたデザイン事務所やデザイナーの方、どうかご
連絡ください。ファッションとグラフィックのコラボレーションで新しいビ
ジネスモデルを確立しましょう。


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◆コーポレート・キャラクターの提案

バブル経済の最盛期にCI(コーポレート・アイデンティティ)ブームが起
きたことを記憶しているだろうか。大手企業はこぞってCIなる新たな企業
のシンボルマーク及びロゴマークなどを導入し、看板や名刺、封筒、インテ
リアデザインに使用した。それが、顧客へのサービスになるか、あるいは利
益の源泉につながるのか、という議論もしないまま、「何となくブームだか
ら」導入した企業も多いのではないか。

勿論、そのときには仰々しい企画書が存在し、コンセプトも語られたのだろ
うが、今となってはそんな背景など知る由もない。そもそもCIとは、事業
の多角化等により、特定の事業をイメージする古い社名を変えるところから
スタートしている。また、多角化、拡大する企業や企業グループの統一的な
理念を表現するために導入したのである。しかし、バブルが崩壊し、多角化
からリストラ、本業回帰が叫ばれると共に、CIは一層、曖昧模糊になって
しまった。

多角化した事業、拡大した事業領域を統一的に表現するという性格から、
CIのシンボルマークは「抽象的な理念」がテーマになった。しかし、現在
のように、「本業とは何か」「世界のオンリーワン企業になるにはどうすれ
ばいいのか」という課題を抱える企業にとって、「抽象的な理念」よりも
「具体的なイメージ」が必要だろう。

そこで、提案したいのが、「CC(コーポレート・キャラクター)」である。
キャラクターは「人格」を意味する。法人の人格を明確に表現するには抽象
的な幾何学的なシンボルよりも、リアルなキャラクターが向いているのでは
ないか。また、キャラクターを設定するには、きれいごとばかりでなく、弱
みや本音の部分を語る必要がある。やたらと善人のふりをする味気ないキャ
ラクターでは面白みもないのだ。キャラクターがあれば、企業広告にも使え
るし、今のCIのシンボルの部分をキャラクターに変えただけで、会社の存
在がリアルになるだろう。

また、事業部やブランドにもそれぞれのキャラクターを設定するのはどうだ
ろうか。キャラクターを設定する段階で、顧客像、事業戦略、自社の独自性
等を検討する必要が生じ、それをクリアすることで、むしろアイデンティテ
ィが際立ってくるのではないだろうか。ファッションブランドやショップで
あれば、キャラクターはビジネスに直結する。キャラクターに独自性があれ
ば、ブランドの独自性も表現しやすい。小売業や卸売業から製造小売業へ転
換する場合も、キャラクターが明確に設定されていれば、オリジナル商品も
企画しやすいはずである。

日本は世界の中でも、平面デザインに優れている。古くは浮世絵、現在では
アニメやゲームキャラクター等が世界的な人気を集めたという実績がある。
特に、ファッションビジネスの世界では、この日本独自の平面デザインをフ
ァッションに取り入れることが、欧米ブランドとの差別化には重要な役割を
果たすだろう。

80年代に登場したキャラクターブランドは、単に当時のデザイナーズブラ
ンドの事業モデルを導入したブランドに過ぎなかった。21世紀のキャラク
ターブランドとは、本来の意味でのキャラクターを有するブランドである。
個性に乏しく、陳腐化してしまったブランドや小売店を再建するひとつの手
法として、キャラクターを活用したブランドリニューアルを提案したい。そ
れにより、ファッション業界とグラフィックデザイン業界のコラボレーショ
ンが活発になり、新たな事業モデル開発が期待できるだろう。

執筆担当:
有限会社シナジープランニング( http://www.j-fashion.net/ )
( http://j-fashion.cocolog-nifty.com/ )
代表 坂口昌章
文化服装学院客員教授
ジャパンクリエーション・総合コーディネーター
文化女子大学特別講義講師 他歴任