242,日本アパレルの中国市場参入に向けた可能性と課題(後半) 04/08/06
みなさん、こんにちは。坂口昌章です。 =================================== ◆日本アパレルの中国市場参入に向けた可能性と課題(後半) 〜中国の見本市出展の次に打つべき戦略とは〜 3.中国の流通自由化の中身とは? 多くの日本企業は、中国市場に魅力を感じている。今年から、積極的に上海 や北京のアパレル見本市に出展する計画もある。多くの日本企業は、流通開 放を待っているのである。 しかし、日本企業が考えるような全面的な流通開放は行われるのだろうか。 率直に言って、私は全面的な開放は当面ないと考えている。 その根拠は、香港に対する中国政府の流通開放政策にある。中国と香港は今 年の1月1日より実質的な二国間自由貿易協定である経済貿易緊密化協定を 締結した。香港から中国への輸出が無関税となり、香港企業が中国国内に流 通小売等の法人を設立することができるようになった。ここで設定された条 件が、香港の次の段階として外国企業に適用される基準であると考えられる だろう。残念ながら、香港企業に与えられた基準は日本企業が期待するもの とはかなり格差がある。 例えば、『香港企業が中国で委託販売、卸売会社を中国に設立する条件は、 申請前3年間の平均売上高が3000万米ドル(中西部に設立の場合は 2000万米ドル)以上、申請前年の資産が1000万米ドル以上、最低資 本金は5000万人民元(中西部では3000万人民元)以上である。 貿易会社の場合は、申請前3年間の対中国貿易の平均金額が1000万米ド ル(中西部に設立の場合は500万米ドル)以上、最低資本金は2000万人 民元(中西部では1000万人民元)以上。 小売サービスでは、申請前3年間の年平均売上高が1億米ドル以上、申請前 の資産が1000万米ドル以上、最低資本金が1000万人民元(中西部で は600万人民元)以上である。』 [『 』内、香港貿易発展局資料より引用] 日本のアパレル企業で、この条件をクリアできるところは皆無と言っていい のではないだろうか。逆の言い方をすれば、開放と言ってもこの程度である と認識する必要があるということだ。 結論から言うと、中国市場攻略は本格的な流通開放を待っていたのでは遅い。 許認可の対象は実績のある企業であり、実績を作るには開放前に中国との取 組を始めるしかないのである。 4.中国企業、中国人との連携が不可欠 中国市場への参入を「中国の見本市出展から始める」のは間違いではない。 しかし、見本市以降のビジネスの取り組み方を考えておかなければ、最終的 にコピー生産するための見本を提供するだけの結果に終わるだろう。 ここまで述べてきたように日本ブランドに対する市場ニーズは高い。ショッ プの運営も人件費が安い分だけ日本よりも有利である。日本での投資金額と 比較すれば、かなり低コストで市場参入のチャレンジを実践することが可能 なのだ。問題は参入の方法である。 中国市場の法的な壁をクリアするには、既にライセンスを持った企業と連携 するか、中国企業として中国人を社長にした法人を設立することが必要であ る。 既にライセンスを持った企業には、日本企業、台湾企業、香港企業、中国企 業がある。どの国が良いと言うよりも、信頼できる相手と組むことが成功の 第一歩である。また、ライセンスを持っていても、日本からの輸出、あるい は中国国内の縫製工場からの商品調達、香港からの輸出等のノウハウ、ある いは、百貨店へのデリバリーのノウハウ、ショップ運営のノウハウ、販売員 の管理ノウハウ等がなければ事業に成功することは困難である。 パートナーの選択を誤れば、代金の回収不能、様々な法的なトラブルに見舞 われ、中国市場でのビジネスの将来も絶たれてしまうだろう。あらゆる人的 ネットワークを駆使して、信頼できるパートナーを選ぶことが求められる。 あるいは、中国市場でのビジネスを軌道に乗せている企業と取り組むことで ある。最初は利益率の追求よりも安全第一で取組み、ビジネスに慣れた段階 でより利益率の高い取組みに移行するという段階的な考え方が必要だろう。 中国国内の小売りビジネスであげた利益を日本に持ち帰ることも難しい。 (海外送金に必要な手続きやそれを可能にするライセンスも存在するが、か なりハードルは高い)中国企業と日本企業で合弁企業を設立し、その企業の 利益から内部留保分を差し引き、出資比率で配当として受け取るという方法 が最も一般的だろう。その他にも、中国国内の資本の移動は比較的容易なの で、縫製工賃等との相殺も考えられる。いずれの場合も、直接的な海外送金 は容易ではないという認識を持つべきである。 アジアビジネスに本格的に取り組むのであれば、利益を持ち帰るという発想 ではなく、本社を香港や中国に移転し、アジアネットワークでのキャッシュ フローを考えることも有効だろう。(このあたりのノウハウは、完全に違法 ではないが完全に合法とも言えない「グレーゾーン」の話になることが多い ので、正確な情報が入手しづらい。) 仮に、多額の資本を投入し、独資で法人を設立したとしても中国人社員の 雇用、行政との折衝、中国の商慣習の理解、消費者特性など、日本人だけで 運営することは困難である。中国市場参入とは中国人相手のビジネスであり、 中国に工場を設立するのとは意味が違う。中国での利益を日本企業が独占す るという発想を持たずに、中国企業、中国人とビジネスと利益をわけ合うと いう発想が求められている。 次回13日配信号は海外出張のためお休みを頂きます。 20日号でお会いしましょう! 執筆担当: 有限会社シナジープランニング( http://www.j-fashion.net/ ) ( http://j-fashion.cocolog-nifty.com/ ) 代表 坂口昌章 文化服装学院客員教授 ジャパンクリエーション・総合コーディネーター 文化女子大学特別講義講師 他歴任 |
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