239,外国人に許されるビジネスの範囲とライセンス

04/07/16

みなさん、こんにちは。坂口昌章です。
それぞれの国は、それぞれの国民が主権を持っています。したがって、外国
人が勝手に自分の国で商売することはできません。しかし、国際的な障壁を
なくし、互いにビジネスを認めることが、相互の利益になることが多いので、
WTO等の制度が整備されました。しかし、原則が変わったわけではありま
せん。

また、法的に規制がなくなっても、非関税障壁は沢山存在します。言葉の壁
も生活スタイルの違いも非関税障壁です。アメリカにすれば、日本で英語が
通用しないのは非関税障壁と言いたいでしょうが、主権在民という原則があ
るのでさすがにそこまでは言いません。

中国では、ビジネスを行うために様々なライセンスが必要です。これは中国
人も同様です。役所との許認可のやりとりは大変な作業なのです。こうした
ことを冷静に考えると、私は中国市場参入というのは、地元への利益供与が
条件ではないかと考えます。

変でしょうか?


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◆外国人に許されるビジネスの範囲とライセンス

法的に許可されていても、誰もがビジネスを展開できるわけではない。日本
人であれば日本国内で自由にビジネスを展開することが可能だ。しかし、ビ
ジネスで成功するという保証はない。

かつてパリの友人に、「どうしたら日本のテキスタイルをフランスのアパレ
ルに売り込めるだろうか?」と相談したことがある。その友人は20年以上
パリの一流メゾンで働いており、考え方がパリ人になっている。

彼はこう言った。「日本人は、すぐにサンプルを持ってきて商売しようとす
る。しかし、ヨーロッパ人はそう簡単に商売しない。例えば、フランス人の
若手デザイナーのグループに日本製の生地を無償提供する。その時に、フラ
ンス大使館の協力を得て、生地がスムーズに税関を通るようにしなければな
らない。法的には自由貿易でも、海外製品の場合、税関の手続きに時間をか
けることがある。それを3年間ほど続けて、日本のテキスタイルメーカーが
いかにフランスに貢献しているかをアピールすることだ。その後で、ビジネ
スの話を持ち出した方が良いよ。まず社会貢献をすることがヨーロッパでは
大切なんだ」

これは日本でも同様だと思う。いきなり商談をされても、簡単には取引でき
ない。その企業が信頼できるパートナーであることを証明しなければ、ビジ
ネスは始まらないのだ。

中国は法的に規制が多いので、法的規制が緩和されればすぐにでも市場参入
が可能だと考えやすい。また、日本の市場の方が成熟しているのだから、中
国市場への参入は日本のやり方で通用するという誤解もある。ヨーロッパの
市場は日本よりも成熟しているが、ヨーロッパのやり方が日本で通用しない
ことは、日本の業界人なら誰でも知っている。

外国でのビジネスは、植民地でもない限り、地元にも利益を提供しなければ
成立しない。その地元への利益を先に示さなければ、地元が歓迎してくれな
いのは明らかだろう。それが嫌ならば自分の国でビジネスをすればいいのだ。

独資か、合弁かという選択も、単純にどちらが自社に有利かという基準では
なく、どちらが最終的に地元に利益を与えられるのか、という基準で考えな
ければならない。独資の方が合理的な運営ができて、より多くの納税ができ
るのであれば、それはそれでいい。しかし、その利益を独占しようとすれば、
何らかの理由で地元から排除されるに違いない。この部分をきちんと認識し
ない限り、ビジネスのための許認可を得ることも困難だろう。中国の行政サ
イドが許認可を与えるのは、それが中国の行政サイドの利益になる場合に限
られると考えた方が良いだろう。

日本企業が卸売、小売りのライセンスを取得するのは難しい。しかし、中国
人であれば、企業を設立し、卸売や小売りのライセンスを受けることは容易
だ。中国政府では中国人を優遇しているのであり、卸売や小売りを中国国内
で行うならば、中国人とパートナーシップを組んで欲しいと考えているのだ。
将来、中国人が自由に海外に出られるようになり、自由に日本でビジネスす
ることができるようになれば、日本人も中国でビジネスすることを認めざる
をえなくなる。しかし、現段階では、中国人は自由に日本でビジネスを展開
することができない。日本人も中国で自由にビジネスすることはできないの
は当然だろう。

中国に工場を作り、日本に輸出するというモデルは中国の利益につながる。
しかし、中国国内販売においては、相互が利益を得るモデルを作らなければ
成立しないのである。
執筆担当:
有限会社シナジープランニング( http://www.j-fashion.net/ )
( http://j-fashion.cocolog-nifty.com/ )
代表 坂口昌章
文化服装学院客員教授
ジャパンクリエーション・総合コーディネーター
文化女子大学特別講義講師 他歴任