237,中国におけるホワイトカラーの人件費の格差

04/06/25

みなさん、こんにちは。坂口昌章です。
今日からまた、中国ビジネスについて考えたいと思います。同じ日本向けの
OEMビジネスでも、中国人が経営している会社と日本人が経営している会
社とでは、利益高にかなりの差があります。日本企業が価格競争に汲々とし
ているのに、中国企業は悠々とビジネスを続け、着実に成長しています。

その理由のひとつが、日本人のホワイトカラーにあると思います。いよいよ、
個人のレベルでも国際競争が始まるのです。


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◆中国におけるホワイトカラーの人件費の格差

日本でビジネスを経験してきた人間にとって、中国はビジネスチャンスがあ
ふれているように見える。少なくとも、現段階では日本の方がビジネスは成
熟しており、現在中国で展開しているビジネスの多くは我々にとって馴染み
のものである。現状がこれならば、将来はこうなるに違いない、という予測
が可能なのだ。ビジネスにとって、予測が可能であることは常に先手を打て
るということであり、最大のメリットなのだ。

しかし、日本人の多くは先手を打つどころか、中国に出かけないし、中国で
ビジネスしようとしない。中国の人件費の安さだけを見て、日本の工場を中
国に移転しているだけだ。多くの工場は、中国社会に溶け込んでいないし、
中国市場と接点もない。日本から派遣された社員は、常に日本を向いており、
日本向けのビジネスに終始している。彼らは工場内部しか見ていない。中国
市場のダイナミズムを体験していないのだ。

同じ日本企業相手のOEMビジネスを比較しても、中国人が経営している会
社は利益を上げているが、日本人が経営している会社は価格競争に喘いでい
る。最も大きな違いは人件費であり、仕入れ先や工場との交渉力だろう。ま
た、節税などの法的な問題も絡んでくる。

縫製工場のオペレータの人件費ばかりを比較しているが、重要なのは、中間
管理職やマネージャーの人件費である。日本人と中国人の能力とコストの差
を冷静に分析する必要があるだろう。日本人を派遣すると、高額な住宅手当
てや日本の水準の給与が必要である。また、言葉やコミュニケーションの問
題が生じないように中国人のアシスタントをつけなければならない。そのコ
ストを優秀な中国人スタッフの獲得に使ったならば、かなり優秀な人材を獲
得できる。

日本人担当者では、工賃の交渉や社員の給与の交渉等がどうしても甘くなる。
あらゆる部分でコストが上積みされても、日本との比較でしか考えないので、
安いと思ってしまう。税金等の経費についても、優秀で信頼できる弁護士と
契約しているか否かで大きな差が出てくるが、日本人はこうした人脈も皆無
に近い。こんなに不利な条件でありながら、多くの日本企業、合弁企業は能
力の低い日本人を使っている。これでは中国企業との競争に勝てるはずがな
い。

多くのサラリーマンは、中国の安い人件費と自分の給与が比較されるなどと
は夢にも思っていないだろう。しかし、中国生産を活用するビジネスでは、
メーカーのコストでそれほどの格差はいかない。問題はホワイトカラーの人
件費であり、本部経費である。中国ビジネスの利益を高給取りの日本人と日
本の本部経費が食いつぶしているのである。

日本企業、あるいは日本人は高コストである。その高コストに耐えられるビ
ジネスモデルを構築しなければ出番はなくなる。現在は、中国の流通開放が
十分ではないために、中国人が海外で自由に会社を設立したり、活動するこ
とができない。中国の市場開放ばかりに目を奪われているうちに、中国企業
が大挙して日本に上陸し、日本企業と競争を演じる可能性も高いのである。

中国には、日本の未来と現在と過去の全てが混沌と存在している。それを整
理し、中国企業ができないビジネスモデルを構築することこそ、人件費の高
い日本人や日本企業が生き残る道である。中国ビジネスは次の段階に移行し
ようとしているのだ。
執筆担当:
有限会社シナジープランニング( http://www.j-fashion.net/ )
( http://j-fashion.cocolog-nifty.com/ )
代表 坂口昌章
文化服装学院客員教授
ジャパンクリエーション・総合コーディネーター
文化女子大学特別講義講師 他歴任