236,ブランドと階層社会

04/06/18

みなさん、こんにちは。坂口昌章です。
多くの日本人には徹底した平等主義が植えつけられています。運動会でも順
位をつけない。あきらかに知能の優劣があるにも関わらず同じレベルの教育
を横並びに行う。こうした事例には枚挙の暇がないほどです。

しかし、社会に出れば実力社会であり、各自の成績は自ずと開きが出てきま
す。

同時に資本主義社会では資本を持つ者が有利であり、実力がなくても、資本
さえあれば富を獲得するチャンスに恵まれます。また、そうした人脈やコネ
クションによってビジネスが左右されることも珍しくありません。

社会は平等ではないのです。平等が望ましいという思想はあるかもしれませ
んが、あくまで思想であり、現実ではありません。ブランドというものも、
社会の階層に関係しています。無邪気な学生に、平等ではない世間を教える
のは結構大変です。


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◆ブランドと階層社会
             
一流ブランドの会社に就職したいと言ってきた学生がいた。本人はいたって
真面目。彼は、どんな会社でも入社試験があり、それに受かれば入社できる
と考えているのだ。「日本の平等教育もここまできたか」と思ったが、彼は
現実をきちんと説明されなかったに違いない。人間は平等であり、努力さえ
すれば誰にでも成功のチャンスは訪れると無邪気に考えているのである。

まず、新卒者が会社訪問したり、一斉に入社試験を受けるなどという光景は
日本以外ではほとんど見られない。欧米では一般に経験者しか採用しない。
特に、一流ブランドを扱うような企業であれば、身元の信用できる人間しか
雇わないだろう。ましてや日本人を雇用することなど、余程の必要に迫られ
ない限りありえない。ヨーロッパの企業では地元の失業者を採用せずに、外
国人を採用すること自体が困難なのだ。

また、一流ブランドを展開している企業は、世界的な勝ち組である。給与の
水準も高いが、世界中に就職希望者は大勢いる。完全な買い手市場である。
英語やフランス語を完全に使いこなす程度では話にならない。日本の一流企
業に就職するよりもはるかに難しいのだ。何のコネクションもない人間など
面接を受けるチャンスさえ与えられないだろう。

仮に、語学が堪能だったり、外資系企業に勤務した経験がある人が日本法人
に採用されたとしても、ヨーロッパの本社にとってはローカル採用のスタッ
フに過ぎず、経営に関わる重要な意思決定に参加するチャンスなど皆無に違
いない。

世界は平等ではない。確固とした階層が存在する。ブランド商品を購入する
ことは簡単だが、ブランドが象徴するソサイアティに所属することは困難で
ある。

ビジネスも同様だ。品質の良い商品を作ることは可能でも、すぐに一流ブラ
ンドになるわけではない。補助金でパリコレに出て一流ブランドになること
を計画した人がいるそうだが、そんなに簡単に一流ブランドができるのなら
ば、誰も苦労はしないだろう。

一流ブランドの世界とは凄まじい利権の世界であり、一部の特権階級が牛耳
っている。そこに食い込むことは、自分を特権階級に所属させることを意味
する。これは、努力や才能だけでは不可能である。

世界には貧困から這い上がり、大金持ちを目指す人が数えきれないほど存在
する。そのために犯罪を犯す人も珍しくはない。また、頭の良い人、才能の
ある人であっても、貧しいためにチャンスを与えられない人がどれほどいる
だろうか。

チャンスを得るために、海外に移住する人も多い。最初は良い仕事に就けな
いが、それでも努力して、子供を良い学校に入れる。その子供が成長し、一
世の人よりも上の社会的地位を獲得する。その子供にも一生懸命教育をして、
少しでも上の地位を獲得させる。このように何世代かを経て、ようやく市民
権を獲得し、社会的な地位を獲得していくのである。

好きだから、嫌いだから、というような理由で仕事を選ぶのとは次元が異な
るのだ。そして、こうした人々は世界中にゴマンといるのである。

世界の中で日本人は有利なポジションにいると言っていいだろう。自分で起
業することもできるし、どの国にも自由に行ける。こうしたチャンスを活か
して、できることを一生懸命行い、一つずつステージを上ることこそ重要な
のである。

執筆担当:
有限会社シナジープランニング( http://www.j-fashion.net/ )
( http://j-fashion.cocolog-nifty.com/ )
代表 坂口昌章
文化服装学院客員教授
ジャパンクリエーション・総合コーディネーター
文化女子大学特別講義講師 他歴任