217,香港ファッションウイークで感じたこと

04/01/23

こんにちは、坂口昌章です。

香港に行ってきました。半袖です。成田についたら摂氏3度でした。香港に
SARSの気配は全くなく、日本に帰って来たら皆インフルエンザに掛かっ
ていました。

「今、なぜ、香港に行くのか?」という質問への回答は以下の通りです。香
港ファッションウイークの中にもビジネスチャンスは溢れています。でも、
ほとんどの人は表面的な商品や展示しか見ていません。この技術をこう生か
して、あの業者と組ませることで、こんなことができる、というビジネスの
組み立てが見えないようです。

結局、目利きが行っていないのですね。中国市場というので皆上海だけに目
が向いています。私も上海にも行きますが、上海に行けば行くほど、中国へ
の流通進出は日本単独では困難と感じます。香港の友人、台湾の友人を大切
にしなければと考える今日この頃です。


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香港ファッションウイークで感じたこと

                   シナジープランニング 坂口昌章

1月13日から16日まで「香港ファッションウイーク」「ワールドブティ
ック香港」の視察ミッションに出かけた。そこで感じたことをいくつかお話
ししたい。

ある香港のニッターの商品には驚かされた。サンプルを見た瞬間、間違いな
く島精機のホールガーメントだと思ったのだが、聞いてみるとハンドニット
だと言う。デザインの完成度も高く、商品の顔も価格も通りそうだ。糸は全
てイタリアから直輸入。価格は20〜50ドル。世界の一流ブランドとも取
引している。ヨーロッパのアパレルはこれを10倍の価格で販売していると
いう。日本なら、これを値切り、細かいロットで発注し、1万円を切る価格
で販売しようとするのかもしれない。今後、この違いは大きくなる。原価の
10倍の価格で販売できるように、広告宣伝やショップ等に投資ができるの
か、単なる廉売屋を志向するのかで、ビジネスの質が大きく変わるからだ。

香港のアパレルは企画力も高く、ディスプレイも上手い。でも、小売店が仕
入れるには、最低生産ロットも大きい。アパレルが仕入れるには中国大陸に
比べて価格が高い。香港ファッションウイークでは、1階で香港アパレル、
3階に中国大陸のアパレルが出展しているのだが、3階と差別化できない香
港アパレルは今後苦しくなっていくだろう。こういう比較ができる点がバイ
ヤーにはありがたい。香港のメーカーも、生き残り策が見えるはずだ。

日本の見本市も中国企業の出展を認め、比較できるようになれば、同様のこ
とが起きるだろう。というよりも、実際の市場では既に起きている。現実に
目を瞑り展示会だけで国内企業の純潔を守ることが良いのか。それとも現実
を目の当たりに確認して対応策を考えるのが良いのか。私は後者を選ぶがそ
うではない人も多い。

最近は、日本企業も中国市場に関心を寄せており、上海や北京の展示会に出
展する動きが出てきた。しかし、中国大陸に進出するために香港や台湾の展
示会に出展するという選択肢も忘れてはならない。香港の展示会に出てくる
中国企業は少なくとも英語が分かる担当者がおり、欧米市場にも輸出できる
と考えている企業だ。また、欧米や中国大陸からも多くのバイヤーが来場す
る。その意味では、大陸の展示会よりも質的に高いのだ。

中国市場に進出する際、日本企業が単独で行うべきか、それとも中国市場に
詳しい華僑とのパートナーシップを選ぶのか、という選択肢も考えなければ
ならない。中国大陸に進出することを視野に入れ、香港や台湾でエージェン
トを探す。あるいは、香港企業や台湾企業との人的ネットワークを作ること
も無駄ではないだろう。中国大陸に進出し、成功している台湾企業は数多い
のだ。同様に、中国大陸を視野に入れて、香港や台湾の展示会に出展する。
あるいは、香港や台湾の展示会に出展している中国企業の中からパートナー
を探すということも重要だ。

私はそういう主旨から香港貿易発展局、台湾紡拓会とのパイプを大切にして
いる。一つのルートだけを考えるよりも、いくつかのルートを確保しておく
方がリスク分散にもなる。中国市場を考える場合、アジアのネットワークを
念頭に置くべきである。中国を中心としたアジアの中で、どのような調達ネ
ットワーク、生産ネットワーク、販売ネットワークを構築するのか。そのた
めには、どんな人的ネットワークをどのように構築するのか、が問われてい
る。中国ビジネスの最大の先行者利益は人的ネットワークにある。


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執筆担当:
有限会社シナジープランニング( http://www.j-fashion.net/ )
代表 坂口昌章
文化服装学院客員教授
ジャパンクリエーション・総合コーディネーター
文化女子大学特別講義講師 他歴任