212,ロシア人向けファッションビジネス講座第3弾

03/12/19

こんにちは、坂口昌章です。

ロシア人向けファッションビジネス講座第3弾です。(4回連載のうち、第
3回です)

いよいよ、ブランド企画と小売店の運営です。実際には、この部分は詳しく
解説する時間がありませんでした。質疑応答が面白くなったこともあり、難
しい内容なので割愛です。でも、彼らのシステマティックな商品企画という
面には興味があったようで、質問を受けました。

私の持論ですが、商品企画とは感性だけでなく科学です。サイエンスだから
きちんと理論があるわけですね。日本ではファッションというと感性と捉え
ていますが、ヨーロッパはそうではありません。人体の美しさに関しても、
ダヴィンチ以来の黄金比など、計数的な理解をしています。身長を16分割
して考えるので、16分の○丈のコートという表現が出てくるんですね。日
本はひざ上○センチという絶対値で表わしますが、それって変でしょう。本
来ならば、比率で表すべきです。

ということで、質問も受け付けます。ヨロシク。


◆5.オリジナルブランドの企画

ロシアで起業する場合、生産は香港や中国のOEMメーカーを活用すること
を勧めたい。そこで問題になるのがオリジナルブランドの企画である。

オリジナルブランドを立ち上げるには、まず商標登録が必要になる。ロシア
国内での販売に限定するのであれば、ロシア国内で商標登録を行えばよいが、
将来的に日本や中国で販売しようとするのであれば、日本や中国でも商標登
録を行う必要がある。

商標登録するためには、商標名を設定しなければならず、商標名を設定する
ためには、ブランドコンセプトを立案しなければならない。

ブランドコンセプトは、顧客ターゲットの設定、商品コンセプト、競合ブラ
ンドとの差別化戦略、織ネームやタグなどのブランドアイデンティティ(グ
ラフィックデザイン)のデザイン、ショップの内装デザイン、広告宣伝戦略
等を検討し、総合的に策定する。

ブランドの骨格が企画できたら、次に具体的な商品企画に入る。
まず、デザイナーは、シーズンテーマを設定する。
商品をOEMメーカーから仕入れる場合は、テーマに基づき、商品展開スケ
ジュールを組み立てて、バイイングあるいは仕様書発注の作業に入る。

自社で生産する場合は、テキスタイル担当は、シーズンテーマに基づき、テ
キスタイルメーカーからサンプルを収集する。この時に、設定されている商
品の価格から逆算して、使用する生地の価格ラインを設定しておく必要があ
る。付属担当は、シーズンテーマに基づき、ボタン、ファスナー、芯地、裏
地等のサンプルを収集する。

デザイナーは自ら定めたシーズンテーマに基づいて、プロトタイプを作り上
げる。この作業は、パターンメーカー(モデリスト)との共同作業となる。
デザイナーのイメージを具体的な形にするのがパターンメーカーの仕事であ
る。基本となるプロトタイプのパターンをマスターパターンとして設定する。
そして、それぞれのプロトタイプからデザインバリエーションを広げていく。
パターンメーキングでは、マスターパターンから展開する。

デザインバリエーションのパターンが完成したら、テキスタイルと付属を組
み合わせていく。この時に、素材同士のコーディネート、商品展開のスケジ
ュールを考えながら、コレクションを組み立てていくことになる。

サンプルが揃った段階で、原価を確認しながら小売価格を設定し、商品化の
検討を行う。デザイナーが良い作品と思っても、市場と合わない場合は商品
化を中止する場合もある。この最終判断は、マーチャンダイザー(プロダク
ト・マネージャー)が行う。

デザイナーはコレクションの責任を負う。したがって、売上が悪ければ契約
を打ち切られる。マーチャンダイザーはデザイナーとパートナーシップを結
び、ビジネス面からのアドバイスを行い、より良いコレクションを組み立て
ていく。

こうして企画された商品が顧客から支持され、そのブランドの信頼性が高ま
ってこそ、ブランド価値が生まれる。また、ブランド価値は商品だけでなく、
顧客の精神的な満足感を満たす必要がある。そのために、豪華な大理石張り
のショップやスタイルの良い販売スタッフ、一流のカメラマンと一流モデル
により雑誌広告写真やポスター等が必要になるのである。

◆6.小売店の運営

小売店とは、商品を仕入れて、仕入れ価格に利益分を乗せて、小売価格を設
定し、販売する。ショップを運営するためには、家賃、光熱費、販売員の人
件費、通信費等の直接経費と、本部、本社等の経費がかかる。商品を売りあ
げた粗利益が経費を上回れば最終的に営業利益が出る。また、経費を下回れ
ば赤字となる。

また、通常のビジネスで赤字が出なくても、不良在庫が増えれば、それを安
く販売してもキャッシュに変えなければならない。その時の差損が発生する
ことも、あらかじめ予測を立てておく必要がなる。

一般に小売店の経営では、売場面積当たりの売上が問われる。小売店の財産
は売場であり、限りある売場でいかに売上をあげるかという効率を追求しな
ければならないのだ。

また、アパレル卸では、商品消化率が問われる。どんなに売上が上がっても、
最終的に多くの不良在庫を抱え、セール等で安売りしたのでは、利益を吐き
出すことになる。在庫を残さず、売り切ることが利益を確保することにつな
がるのである。

また、生産工場は、機械の稼働率を追求する。限りある機械設備をいかに効
率よく稼働させるかで利益が決まるからだ。このように、業態によって、ビ
ジネスのポイントが異なる。異なる同士が取引をするところに、ビジネスの
面白さと難しさがあると言えるだろう。

(つづく。次回が最終回!)


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執筆担当:
有限会社シナジープランニング( http://www.j-fashion.net/ )
代表 坂口昌章
文化服装学院客員教授
ジャパンクリエーション・総合コーディネーター
文化女子大学特別講義講師 他歴任