161,アジア地域の産地問屋、集散地問屋 2002/09/27
皆さん、こんにちは。坂口昌章です。 ◆アジア地域の産地問屋、集散地問屋 流通システムの改革は、業態開発や業態転換だけではない。業態は変えなく ても、仕入れ先、販売先を全面的に変えるという考え方もある。 例えば、取引のエリアを日本国内からアジア全域に拡大すると、日本で行き 詰まっている業態も生き返る。日本の産地問屋は次々と淘汰されているが、 日本ではなくアジアの産地問屋という発想に立てば、有望な業態になる。韓 国・大邱の産地問屋、中国・上海の産地問屋というイメージだ。日本の繊維 流通は複雑だと言われるが、複雑だということは高度に分業化が進んでいる ことでもあり、それなりのノウハウも蓄積されている。 紡績や合繊メーカー、あるいはテキスタイルメーカー、染色工場等は、装置 産業であり、スケールメリットを追求する傾向が強い。中国の多くの工場も 大量生産システムを前提にしており、その多くは紡績からテキスタイル、あ るいは縫製までの一貫工場である。 紡績、テキスタイル、アパレル製品と下っていくにつれ、製品は多様化する。 そして、紡績ではトン単位、テキスタイルでは反(50メートル)の単位、 製品では1着、2着の単位というように、扱う数量は細かくなっていく。大 量生産大量販売型のファッションであっても、自社で紡績した糸を全てテキ スタイルに加工して販売すること、自社で生産したテキスタイルを全てアパ レル製品に加工して販売することは困難である。 最近まで、日本の合繊メーカーも差別化原料に関しては糸で販売せずに、系 列の機屋で織物に加工し、自社の販売部門でテキスタイル製品として販売し てきた。いわゆるフル生産フル販売を維持していたが、その体制も崩れつつ ある。 また、日本の合繊メーカーも、自社だけできめ細かい営業ができないために、 商社や生地問屋を通じてアパレル企業に販売している。こうしたことからも 分かるように、メーカーは大規模化、合理化、省人化が進んでいるが、問屋 等の流通段階では中小企業も多く人手もかかる。合理化やシステム化が難し い業態なのだ。 中国でも同様の事態が起きている。大規模なメーカーは最新設備を誇り、品 質管理も万全だが、その製品を販売する卸売市場は団地のような建物に小規 模企業が集積しており、混沌とした状態だ。メーカーは集中的に投資すれば 短期間で世界レベルの工場になるが、流通はそう簡単ではない。 大手現金卸の大西衣料は丸紅と提携し、丸紅と現地大手流通国有企業の合弁 による中国初の外資系卸売業会社「上海百紅商業貿易有限公司」の現金卸売 部門として、2002年11月をめどに上海に一号店「世富上海」を開設す ると発表した。大西衣料のノウハウを活かし、現金決済による会員制の衣料 卸店舗を目指していくという。また、大西衣料の店舗内装・什器などの支援 会社セルフ店研の独資現地法人「店研創意」も2002年3月に設立されて おり、顧客となる小売店へのサポート体制も整えている。 これまで日本の現金問屋は、中国商品の輸入販売ばかりを考えてきた。しか し、大西衣料は、自らが中国に参入し、中国の商品を中国の小売店に卸すと いう視点を持つことにより、大きな可能性を獲得したと言えよう。 大西衣料はアパレル製品の現金問屋の事例だが、生地問屋についても同様の ビジネスモデルは考えられる。ファッションの個性化、多様化が進めば、単 品売場からコーディネート売場、ブランド毎のショップに変化し、多様なテ キスタイルによるコーディネートやスタイリングが求められる。 そうなると、テキスタイルからアパレルまでの一貫生産体制ではなく、分社 化が始まるに違いない。コスト競争よりも差別化が課題になるのだ。 したがって、中国市場においても、幅広いテキスタイルを品揃えし、ブラン ド毎に提案できる生地問屋が必要になる。勿論、イタリア、日本、韓国、台 湾等からの輸入素材のニーズも高まるだろう。 更に、集散地問屋という業態もアジアスケールで考えと、新たな可能性が見 えてくる。アジアの繊維産地から商財を集め、それをアジアに消費地に販売 する集散地問屋である。立地は、物流拠点となる地域、あるいは豊かな消費 地に近い地域が有望だろう。 残念ながら、日本の空港行政はビジネスを反映せずに、自治体同士が牽制し ている状態である。ハブ機能としては、上海、香港、ソウル、シンガポール 等の方が有望かもしれない。同時に、アジア各国を結ぶ情報システムの整備 も不可欠である。ITの普及という意味でも、日本はあまり有利とは言えな い。 アパレル製品で言えば、デザイナー、縫製工場、ニッター等のネットワーク も重要な要素になる。アジア各国のテキスタイルを集め、アジア各国のデザ イナーを起用したブランドを展開し、アジア各国で加工し、アジア各国の市 場で販売する。 店舗展開という意味では、店舗デザイン、インテリアデザイン、VMDの重 要な課題である。商品だけではなく、店舗展開のノウハウもセットにして販 売することが求められるだろう。(その意味でも大西衣料のケースは注目し たい) また、テレビやファッション雑誌に対する広告、パブリシティ活動も重要で ある。こうした機能は情報発信機能を持つ都市に立地した方が良い。ここに 日本の担うべき役割が見えてくる。 執筆担当: 有限会社シナジープランニング( http://www.j-fashion.net/ ) 代表 坂口昌章 文化服装学院客員教授 ジャパンクリエーション・総合コーディネーター 文化女子大学特別講義講師 他歴任 **************************************************************** 【アパレルウェブ通信・アパレルウェブへのお問い合わせ】 発行:株式会社アパレルウェブ 東京都中央区日本橋小舟町13-10 儘田ビル5F Tel:03-5614-8542 Fax:5614-8541 magazine@apparel-web.com アパレルウェブ: http://www.apparel-web.com 日本繊維新聞: http://www.nissenmedia.co.jp **************************************************************** |
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