118,アジアスケールのアパレル企業に変革せよ

2002/07/13

 日本繊維新聞2002年5月22日付の「坂口昌章の日本印のファッ
ション考」は、商社依存のアパレルに対して、少々厳しい提言です。
日本の商社に依存しているだけで、グローバル化やアジアの時代に
対応しているというのは錯覚に過ぎません。
 いち早く、社内システム、流通システムを整備することが必要不
可欠と考えています。



日本繊維新聞2002年5月22日付
「坂口昌章の日本印のファッション考」

■アジアスケールのアパレル企業に変革せよ■
    
有限会社シナジープランニング 坂口昌章

 これまで日本のアパレル企業は、日本国内で業務が完結していた。
そのため日本国内でしか通用しない経営のシステムになっている。

 グローバル化ということで、海外生産や海外からのブランドライ
センスを導入している企業も多いが、それらは商社に依存している
だけだ。肝心のアパレル企業の社内システムは何も変わっていない。

 商社に生産を委託するのは良いが、それで本当に国際競争力のあ
る製品が生産できるのか。また、品質は安定するのか。商社に生産
を委託することで、アパレル企業が持っていたモノ作りのノウハウ
は空洞化させないか。今後、社内にアパレルのノウハウが蓄積され
るのだろうか。

 海外ブランドとライセンス契約するのは悪くないが、本当に利益
を上げているのは商社である。アパレル企業は全てのビジネスのリ
スクを持ちながら、所詮は借り物のブランドで商売をしているだけ
なのだ。

 ブランドと生産を握られるということは、アパレルの生命線を握
られているに等しい。アパレルビジネスが日本国内からアジア全域
に拡大しつつあるが、商社は日本のアパレルばかりを使うとは限ら
ない。アジア市場はアジアのアパレル企業を活用してビジネス展開
することも十分に考えられる。

 アパレル企業は自立しなければならない。商社を活用することは
良いが、過度の依存はアパレル企業としての存在意義を危うくする
だろう。

 EUのみならずアメリカでも、環境問題や人権問題に対する配慮
が欠かせなくなっている。欧米市場に進出する場合、あるいは、欧
米のアパレルとのライセンス提携であっても、全ての生産工程を公
開し、環境問題と人権問題を遵守しているという証明を取らなけれ
ばならない。それには、工場の設定を商社任せにすることできない。
自らの基準を作り、それをクリアしている工場だけを使うという管
理が欠かせない。自社ブランドを縫製している工場が把握できない
というのではアパレル企業とは呼べないのである。

 海外生産を自ら行うことになれば、商品企画や素材の発注もグ
ローバルに行わなければならない。日本の展示会のサイクルではな
く、海外の見本市のサイクル、即ち、年間二シーズンの企画を立て、
素材を発注し、生産ラインを組み立てなければならない。勿論、貿
易業務のノウハウを社内に蓄積すべきである。また、販売について
も、レップやエージェントを活用するならば、売り上げ歩合の報酬
制度を整備し、セールスマン用のサンプルを用意する、という欧米
型のビジネス形態への転換が必要になる。

 今後、日本のアパレル企業は社内システムを変革し、グローバル
な経営システムに変革することを迫られる。いよいよアパレル問屋
の時代は終わる。商社の下請けでなく、自立したヒジネスを行うの
であれば避けられない道なのだ。◆