078,日本スケールからアジアスケールへの脱皮を

2001/05/22

 リサーチニュース5月15日号が出ました。今回のマーケットナウは、また
してもという感じですが、「アジアスケールへの脱皮」を説いています。

 繊維セーフガードが話題になっていますが、結局、問題の先延ばしにしかな
らないような気がします。私は、無用の期待を抱かせることが罪だと思うので
すが、業界ではそうは思っていないようです。駄目でもやる、という信念で
しょう。

 私は、若い世代に夢を与えられるようなビジョンを業界が打ち出すべきと考
えています。

 アジアに行って、アジアンフードを食べて、アジアの人と仕事をして、元気
になろう。

 何となく「アジアのビジネス生態系」というテーマについて考えています。


マーケット・ナウ(リサーチニュース2001年5月15日付)

■日本スケールからアジアスケールへの脱皮を■

有限会社シナジープランニング 坂口昌章

 かつての繊維ファッション産業は、国内で完結していた。紡績、合繊メー
カー、織布、染色、整理、問屋、アパレル、小売にいたるまで国内企業が日本
市場を独占していた。業界のノウハウ、商売のノウハウとは、この国内の繊維
産業のシステムや業界の不文律を覚えることだった。そして、業界内の先輩に
引き立ててもらって信用を得る。一度信用を得て、大手企業の取引口座が開設
できれば、それだけで商売は保証されたのである。

 しかし、現在の繊維ファッション産業は、これまでの業界常識が通じない。
一度、信用を得ても、来年の受注が保証されたわけではない。常に競合を続け、
勝ち続けなければ生きていけないのだ。国内企業と安定した取引をしていても、
輸入品との競争に負けることもあり得る。これまで蓄えてきた国内のノウハウ
が役に立たない時代になったのである。

 少なくとも、繊維ファッション産業は、アジアスケールになっている。した
がって、アジアにおける紡績、合繊メーカーの状況、織布、染色、整理の状況、
アジアのアパレル企業、アジアの流通システムを理解しなければ、商売ができ
ないのである。

 国内メーカーが生き残るためには、ここ2〜3年のうちに、アジアの繊維
ファッション産業の実態を理解しなければならない。そして、自社のポジ
ションを客観的に判断し、自社で何ができるか、何をしなければならないのか、
という分析を行い、それを実行するのだ。

 いつまでも国内の常識にこだわり、業界団体や行政に依存しようとしても何
も改善されないだろう。問題を先延ばしにし、不良債権を増やすだけである。

 先進国の製造業は新たな次元に突入しようとしている。製造業の業務の中で、
マーケティング、企画、設計というソフトの部分を国内で担い、仕様通りのモ
ノを作るのは発展途上国にアウトソーシングする。製造業が空洞化するのでは
なく、製造業の内容が変化しているのである。

 ソフトの重要性、企画やマーケティングの重要性は、これまでにも盛んに議
論されてきた。現在のような状況になることは、十分に予想されていたのだ。

 先進国にありながら、仕様通りに作るだけの製造業は淘汰されるしかない。
それが嫌なら自己変革である。◆