077,メーカーこそ輸入すべし

2001/05/22

 4月25日付けの日本繊維新聞「坂口昌章の日本印のファッション考」では、
メーカーの輸入について書きました。

 昔、「私作る人、僕食べる人」というコマーシャルが男女差別を助長すると
いうことで批判されたことがありました。

 同様に、「僕作る人、私輸入する人」という区別もおかしいと思うのです。
作る人が輸入する。そして、輸出もする。それで初めてグローバルビジネスに
なると思います。

 自分の頭を変えること。分かってはいるけれど、難しいのでしょうね。


日本繊維新聞2001年4月25日付「坂口昌章の日本印のファッション考」

■メーカーこそ輸入すべし■

有限会社シナジープランニング 坂口昌章

 プルミエールビジョンには、テキスタイルコンバーターや輸入商社、アパレ
ルだけでなく、機屋も出掛けている。プルミエールビジョンの出展者にとって、
日本の同業者の来場は望ましいものではない。安価なコピー商品を憎むのは、
いずこも同じである。

 私は、最近、機屋に輸入を勧めている。でも、コピー生産を勧めているわけ
ではない。イタリアの素材をコピーしたところで、日本で生産した方が高くつ
くケースが多いからだ。そうではなくて、「自社が得意とする製品とコーディ
ネートができるような機屋を探し、着分オーダーをしてこい」と言っているの
である。

 これまでプルミエールビジョンに行っても、日本の機屋はブースの外から遠
慮がちに覗いていたに過ぎない。それでは企画の真髄に触れることはできない。
彼らのテキスタイル企画の組み立て方、色の出し方等をじっくりと観察するに
は、実際にバイイングするのが一番である。そうすれば、同業者ではなく、バ
イヤーとして扱ってくれるのだ。

 オーダーした着分をアパレルに提案し、評判が良ければ、実際に輸入して納
品する。アパレルも技術力のある機屋が選んできたテキスタイルの方が安心し
て仕入れられるだろう。これは、先方の機屋も同様に違いない。技術が分かっ
ているバイヤーの方が仕事はスムーズに進むはずである。

 この時に、輸入テキスタイルとコーディネートできるようなオリジナルの織
物を自社で生産し、色を合わせて、セットで提案することが肝心である。

 機屋にとっては、自分が輸入商社と同じ仕事をすることに抵抗を感じる人が
多いだろう。しかし得意先のアパレル企業の担当者にとっては、海外見本市に
出掛けてサンプルを購入してくる機屋は「企画力のある機屋」と評価されるは
ずである。

 ある程度、実績を積んだら、イタリアの機屋に自社で生産したオリジナルの
テキスタイルをプレゼンテーションすることを勧めたい。上手くいけば、相手
の会社を窓口にEU市場へ販売することができるかもしれない。

 こうした海外のテキスタイルメーカーと国内のテキスタイルメーカーの連携
は、様々なビジネスチャンスを生み出す。日本には、イタリアに出来ないテキ
スタイルが数多く存在する。同時に、日本にできないテキスタイルがイタリア
には存在する。既にコピーの時代は終わっている。これからは、棲み分けの時
代である。

 勿論、中国のテキスタイルメーカーとも同様の取り組みができるはずである。

 高級品のニーズがあれば、イタリアからの輸入素材を提案する。安いものが
欲しければ、中国から輸入する。必要に応じて、イタリアや中国から生機を輸
入して、国内で染色整理を行うケースも出てくるだろう。

 こうした国際的オペレーションを持っていない機屋は、アパレルのニーズに
応えることはできない。しかし、こうしたオペレーションができれば、商社に
対抗して、グローバルビジネスが展開できる。

 イタリアの某モデリスタは、「企画こそ生産そのものである」と語った。生
産という仕事も、時代によって変化する。機屋という仕事も変化して当然であ
る。日本という大きな市場に位置する日本のテキスタイルメーカーは、世界中
のテキスタイルメーカーと連携することが可能であり、このことは大きな財産
である。

 私は国内メーカーの生き残りには、こうした海外メーカーとの連携が必須と
考えている。◆