075,インターネットが開く日韓ファッションビジネスの可能性

2001/04/24

 4月12日に、韓国ソウルにてセミナーを開催しました。このセミナーは、
FASHIONABC.COMという韓国のファッション・ポータルサイトの開設記念に行わ
れたものです。


■インターネットが開く日韓ファッションビジネスの可能性■

講師:坂口 昌章 氏(有限会社シナジープランニング)

 こんにちは。ただいまご紹介いただきました、東京からやってきましたシナ
ジープランニングの坂口昌章と申します。

 まず最初に、今回のこのセミナーにお招きいただいた株式会社ファッション
ABCのシム社長、ならびに金さんにお礼を申し上げたいと思います。本当に
きょうはご招待いただきましてありがとうございました。

 きょうこれからお話しする内容ですが、一つはインターネットということで
あります。インターネットが普及することによって、われわれのファッション
ビジネスを取り巻く環境がどのように変わるか、あるいはインターネットに
よって、われわれのファッションビジネスがどのような可能性を持ってくるの
かというお話をしたいと思います。

 もう一つは、アジアのネットワークということであります。日本においても、
韓国においても、今までファッションビジネスというのは、どちらかというと
自分の国内市場だけを見ていればよかった。ところが、欧米の有名なファッ
ションブランドやファッションアパレル企業がどんどん上陸してきて、国内の
市場がグローバル化してきています。

 今までのわれわれの視点は、国内と海外という区分けでした。海外と言って
も欧米企業が中心だったと思いますが、それがアジアの経済発展とともに、自
国の市場と共通する市場が出現したということです。

 特に若い女性の市場ですが、例えば日本、韓国、台湾、香港、上海を中心と
した中国の沿海部、これらの都市の若い女性のファッションが非常に似てきて
います。まさに、一つの新しい共通した市場が誕生したと言えるでしょう。

 この「インターネット」と「アジアネットワーク市場」の二つについて、今
日はお話をしたいと思っています。

1.中国の成長による影響

 まず最初にお話ししたいのは、中国ということであります。もはや日本も韓
国も、中国の存在を前提にしない限りファッションビジネスは語れない時代に
なったと思っています。

 ご承知のように、中国は非常に人口が多い、そして巨大な人口が経済発展を
推進しているわけですし、特に繊維の力で国を盛り上げていこうという「繊維
立国」を計画しています。

 その中国が、今目標にしていることが二つあります。一つは、WTO加盟と
いうことです。WTO加盟ということは、国際的な自由貿易体制の一員に加わ
るということです。今までは、例えば国営企業が存在しているために、個々の
民間企業が勝手に輸出や輸入をすることはできなかったわけですが、今度、W
TOに加盟をしますと、各企業が自由に貿易することができるようになります。
まさに、日本や韓国と同じように個々の企業が自由に企業活動を行なう時代が
来るということです。

 それからもう一つは、2004年末でMFA(多国間繊維協定)が撤廃されます。
最も代表的なものが輸入割り当てです。アメリカが国ごとに、特に繊維の輸入
割り当てを行なっていますが、それが2004年末で撤廃されるということです。
つまり、あらゆる分野での貿易が自由貿易になるということです。

 MFAというのは、発展途上国の急激な輸出力の拡大によって、先進国の繊
維産業に悪影響を及ぼすことを防ぐために、時間を区切って、2004年いっぱい
までは輸入割り当てなどをしてもいいということになりましたが、それが一切
なくなるということです。したがって2005年からの新体制(それまでには中国
もWTOに加盟することは間違いないと思いますが)が、日本においても韓国
においても非常に大きな転機になるだろうと考えています。

 特に中国が繊維の輸出をどんどん増やしている中で、例えば韓国、あるいは
台湾の輸出型の繊維産業は非常に大きな影響を受けていると思います。韓国の
テグの合繊メーカーなども淘汰がかなり進んでいると聞きますし、もちろん日
本も輸出競争力というのは、中国の台頭によって相対的にどんどん低下してい
る。これは台湾でもまったく同じ状況が生まれています。

 その結果、日本のファッション市場では、全需要の約7割(72%)が輸入品
で占められております。そのうちの約8割が中国製ということになっていまし
て、ここ10年の間に日本は生産が4割減って、輸入が2倍になりました。

 これはどういうことかと言いますと、今までの日本の市場は日本国内のアパ
レル企業、繊維関連企業が独占していたのが、わずか10年で輸入が2倍になっ
て7割以上が輸入品になってしまった。ということは、国内の企業のシェアが
どんどん下がっているということです。ゆえに、最近、繊維関連企業の淘汰、
倒産、廃業が非常に目立っているという状況です。

 そのようなあまりの輸入の急成長ぶりに、日本国内の繊維産業のメーカーは
デモを行なったり、あるいはタオル業界などでは今年になって繊維セーフガー
ドの発動を要請する動きが出てきています。これは輸入が急激に増えることの
ないように規制していこうというもので、アメリカなどではよく発動していま
すが、今まで日本は輸入に関してまったく規制を設けず、繊維セーフガードを
発動したことはなかったのですが、そうした動きも出てきています。

 ただ、僕個人の意見としては、おそらくセーフガードを発動するのは難しい
のではないかと思っています。仮に発動が認められたとしても、3年間の時限
的な取り決めでありまして、1年目は前年実績並みの輸入は認められています。
2年目はその6%アップまでが認められています。3年目はその6%アップが
認められています。

 例えば日本のニット製品、セーター、Tシャツ、トレーナー、ポロシャツな
ど、そういうものを全部含めますが約9割が輸入品と言われています。という
ことは6%・6%増えたらもう 100%近くなってしまうわけですから、今さら
輸入制限をしようとしても間に合わないというのが実体でありましょう。

 ただし、ここで非常におもしろい現象が起こっております。日本国内の製造
業者は中国の製造業者、つまり同じメーカー同士の力関係ばかりに注目してい
るわけですが、もう一つ、中国の市場が育ってきているという面があります。
つまり中国が繊維関連を中心とした工場をどんどん作って、製品をどんどん
作って輸出をしていくことによって、中国国内にお金持ちの人たちがかなり増
えてきたということが言えます。

 お金持ちが増えて、その人たちが今度は、例えば欧米のブランド品を購入す
るようになってきた。あるいは日本製のテキスタイルや製品を欲しがるような
人たちが出てきた。ここに僕は非常に注目をしているわけです。

 つまり中国というのは二つの意味があって、一つは生産力が増えて、我々を
脅かしている面もありますが、もう一つ、WTO加盟を逆に見ますと、中国市
場が開放されるということです。十二億の人口のうちの1割が中流以上になっ
てきていると言われていますが、1割と言っても1億2千万人ですから、日本
の人口に匹敵する巨大なマーケットが誕生しつつあるということです。これを、
世界中が狙っているのです。

 そうした二つの状況、競争が非常に激しくなる、また輸出で生活をしていた
産業は中国の成長によって非常に影響を被っておりますが、逆に今度は中国の
中で育ってきたそうしたリッチな人の市場というものに新しいビジネスチャン
スが生まれているということが言えると思います。

2.日本が目指すファッションビジネスの方向

 次に中国の問題から離れまして、日本の今のファッションビジネスの方向に
ついてもお話をしたいと思います。

 これは、日本だけではなくて世界的な傾向なのですが、いわゆるSPA型業
態のことがあります。

 SPAと言いますのは、アメリカのGAPという専門店が最初に言い出した
言葉です。これはどういう意味かと申しますと、GAPは元々リーバイスの
ジーンズをアメリカで一番売っている小売店チェーンだったわけです。

 それがある時、GAPジーンズというプライベートレーベル、オリジナルブ
ランドの商品を開発しまして、GAPは自分のお店の中には一切他のブランド
を入れない。つまりリーバイスという商品を扱わない、GAPのお店の中はG
APというブランドの商品だけを扱うのだということを宣言したわけです。

 そのときにGAPの会長が、「うちはSPA(Speciality Store Retailer
of Private Lavel Apparel)なのだ」という言い方をしまして、それを日本の
繊研新聞という業界紙が大きく取り上げて、それから日本国内ではSAPとい
う言葉が定着しておりますが、これはアメリカやヨーロッパでは定着している
言葉ではないので、通用しないかもしれません。

 そのSAPという業態、GAPの場合は、専門店、小売店が自社のオリジナ
ルブランドを展開した。つまりアパレルメーカーの機能も持って小売店もやっ
ているということです。

 一方で、アパレルメーカーが直営の小売店を持って自分のオリジナルの商品
を店舗で展開していることもあります。一番代表的な例がイタリアのベネトン
社でありまして、ベネトンはウールの糸を世界一使用する世界最大のニット
メーカーでもありますが、そのベネトン社が自社のオリジナル商品を自分の店
舗で展開した。

 日本で似ている例は、今話題のユニクロで、これは小売店から始まりました。
山口県の小さな専門店が破竹の勢いで急成長しまして、中国の縫製機能を活用
して、今まで日本では考えられないような低価格のカジュアルウェアを発表し
ました。だいたいGAPの2分の1から3分の1の価格帯というわけです。こ
れが急成長しておりまして、今は日本ではユニクロがファッションビジネスの
サクセスストーリーの主役となっています。

 その他にも、アパレルメーカーが小売店を展開したという例で、ファイブ
フォックスやサンエー・インターナショナル、ワールドなどがあります。ファ
イブフォックスは、コムサデモード・イズム、コムサ・コムサ・コムサ、サン
エー・インターナショナルはナチュラルビューティ、ジル・ステュアート、
ワールドは、オゾック、インディヴィといったブランドが代表的なものです。
これらは全てアパレルメーカーが小売店までやったということです。

 韓国も同じかもしれませんが、今まで日本のアパレルメーカーの仕事のやり
方というのは、展示会をやって、小売店のバイヤーを呼んで、発注を受けて、
その人たちが注文を出したものを受注しただけ生産をして、それを小売店に販
売するという形態でした。いわゆる品揃え型と言いますか、いろいろなアパレ
ルメーカーから仕入れた商品で店舗を構成するような小売店が多かったわけで
す。

 しかしSPAとなると、一つの店に一つのブランドですから、全部自分の会
社のブランドがそこで展開されるということで、展示会受注に頼らない。店頭
がどういう売り上げを取っていくのかを計算しまして、まさに店頭をすべて自
分たちでコントロールする。ですから、商品企画イコール店舗運営企画(ビ
ジュアル・マーチャンダイジングという言い方をしますが)、店舗をどうやっ
て演出するかをすべて最初から計画的に考えた上で商品企画、商品生産をして
いくようなやり方になってきました。

 SPAは利益率が高いという特徴があります。なぜならアパレルメーカーと
しての利益と小売店としての利益の両方が自社で獲得できるからです。反面、
もし売れなかったらそのリスクは全部自分で持たなければいけないので、ハイ
リスク・ハイリターン、危険は高いけれども利益が大きいというビジネスに
なっています。

 ただし、ハイリスク・ハイリターンだから儲かったところと儲からなかった
ところがあるはずなのですが、どちらかと言えば既存の展示会型のところより
もSPA型のほうが利益が上がっている企業が多くなっています。

 これはなぜかと言いますと、日本の市場の特徴なのですが、ファッション雑
誌が非常に多いのです。最近、韓国もファッション雑誌が増えてきましたが、
まずファッション雑誌に掲載されるかどうかということが非常に大きなポイン
トです。ファッション雑誌に掲載されないようなブランドは売れないと言って
もいいと思います。

 ファッション雑誌に掲載されるにはどうしたらいいか。二つの方法がありま
す。一つは宣伝広告を出す。お金を出して載せてもらうわけです。もう一つは、
雑誌の編集部が取材をして、例えば商品を借りて、それを自分たちの特集ペー
ジとして掲載する場合です。

 どちらが顧客の信用を得るかと言えば、もちろん広告ではなくて、編集者が
企画をして掲載をした商品のほうが信用を得ます。つまりお金を払ったら誰で
も載せられるというものではない。一つの雑誌の編集者なり、あるいは、日本
ではスタイリストと言いますが、それを借りてくる人の目を通っているわけで
すから、ある人の目、ある人の基準、ある人の格付けを経ているということで、
それは信頼がおける情報であるということになるわけです。

 こうして雑誌に載る。現在の日本のファッション雑誌は、必ずと言っていい
ぐらい、お店の名前が掲載されており、どこで売っているかがわかるように
なっています。つまりブランドとショップの名前が一緒だと、ブランドを見た
だけで自分の頭の中で「近所のあそこにこういう店がある」ということが思い
浮かびますから、そこで買いに行けるということになります。

 これが今までのようなアパレルメーカーが小売店に商品を卸している場合で
すと、雑誌に載ったとしても、それがどういう店で売られているのかわからな
いということが起きるわけです。ですから、やはり直営店の強みというのは、
ブランドの名前とお店の名前がイコールであることにあります。

 では、雑誌を見てお店がわかった。「これ良いから買いに行こう」と買いに
行きますと、そこにそれがきちんとディスプレイされているのか、展開されて
いるのかという問題があります。

 これは、たとえば雑誌社に商品サンプルを貸し出すわけですが、サンプル
ルームのような一つのショップ、プレスルームを作りまして、そこにサンプル
を並べて自由に出版社に貸し出します。雑誌掲載の場合は無料、コマーシャル
の場合は有料で貸し出すのが一般的です。

 ですからこのプレスルームを持っていない企業は雑誌に載る確率は非常に低
くなります。そこでは貸し出すときに全部それを記録していますから、どうい
う人が借りていって、何月何日発売のこういう雑誌に載るという情報が全部わ
かります。そうすると今度は各お店に指令が行って、それをきちんとディスプ
レイして、見やすいところに並べて、雑誌に載ったものと同じようなコーディ
ネートできちんと展開することができます。そうすると、雑誌を見て買いに
行ってもちゃんとお店でも展開されていることになります。

 では店に入りましょうと入って、最終的にお客さんが商品を買うかどうか
迷っているときに決定するのは販売員です。その販売員がきちんとその商品の
品質やデザインポイント、商品企画の狙い、クリーニングなどの手入れの仕方
などを伝えられるか。これを伝えられるということは、その販売員がきちんと
教育を受けているということです。

 SPA型のメーカー、直接小売店までやっているところはそうした教育がで
きますが、例えば展示会で商品を買っていた今までのパターンですと、小売店
の販売員が必ずしもその商品のことをよくわかっていないということが起きま
す。

 そういう意味では、商品企画と宣伝広告、それから雑誌の貸し出し、店頭の
VMD、販売教育、これがすべて一気通貫でコントロールできるのはSPA業
態でしかないわけです。言い換えれば、情報戦略がきちんとできているという
ことです。

 今までの一般の製造卸型、展示会で商品を売っていたところよりもSPA企
業のほうが、お客さんが商品を買うまでのすべての情報をコントロールしてい
る。しかも、直接、店舗でお客さんと接しているわけですから、お客さんの情
報がいち早くフィードバックされて商品企画に生かされるということができる
わけです。これが、SPAがどんどん成長して、既存のアパレルのやり方はど
んどん衰退している原因の一つです。

 もう一つ、これはどちらかというとアパレルがむしろ小売店のほうに近づい
ていった例ですが、たとえばイタリアのアルマーニ社がGFTというアパレル
の縫製工場を買収しました。

 元々アルマーニというデザイナーは、GFTに育てられたようなところがあ
ります。GFTというアパレルメーカーがアルマーニを契約したわけですが、
そのアルマーニが成長して、昔、自分と契約してくれたメーカーの工場を買収
したのです。

 これは、商品でいかに差別化していくのか、いかに良いものを作るかという
ことを考えますと、やはり縫製工場ですとか、あるいは素材、テキスタイルと
いうところまで入り込んでいかないと良い商品はできないということです。

 まさに、小売店に近い情報戦略にも力を入れるアパレルと、もっとモノ作り
のほうに力を入れるアパレルが二極化してきているわけであります。

 前者のSPA型のアパレルは、今日本では生産管理を商社などにアウトソー
シングする例が非常に増えております。

 SPAというのは非常に幅広い人材を用意しなければなりません。職種もた
くさんあるわけです。商品を企画して、デザインをして、パターンを引いて、
生産管理をして、営業と言いますか、出店の交渉などの活動をしている人もい
れば、販売促進の人もいれば、あるいは販売員、あるいは販売員を教育する人、
もちろん総務だとか経理だとか、非常に幅の広い人材が必要です。

 その中で、果たしてそれを全部同じように給料を払って資金を使うのがいい
のだろうか。どの部分に力を入れたほうが利益率が高くなるのか。つまりその
会社の核、コアコンピタンスは何なのだという議論がありまして、SPAはク
リエーション、商品企画の部分と店舗のところ、それから宣伝広告、先ほどの
雑誌の掲載も含めた宣伝広告と商品企画と店舗運営、ここを押さえる。そこが
一番利益の元なのだということで、生産管理は外へ出してもいいというように
考えています。

 一方、どちらかと言えばミセス向けのモノ作りにこだわったところに関して
は、それはできない。やはり工場はきちんと自分で抱えて、製品を作ろうとい
うようになっています。

 こうした二つの方向が見られるわけですが、それにしても、実はSPAも、
GAPですとかエディバウアーですとか、そういうところがどんどん参入して
きますし、あるいはモノ作りにこだわるというとイタリアのブランドですとか、
フランスですとかアメリカの一流ブランドがどんどん入ってくる。そうすると、
世界的に見れば日本の市場というのは非常に大きな市場ではありますが、それ
でもどんどん競争が激しくなってきて、やはり市場が小さくなっているわけで
す。

 そこで、これから日本のアパレル企業や小売店が考えていくことは、海外の
市場も開拓しようということであります。特に、冒頭で言いましたような、韓
国、台湾、香港、上海といったアジアの都市、アジアの市場を狙っていこうと
いうことを考えています。

 もちろんアメリカもヨーロッパもと考えたいのですが、正直に言いまして、
今、世界の経済はブロック化が進んでいます。アメリカはアメリカでNAFT
A(北米自由貿易協定)ということで、カナダや中南米、つまり北米と中南米
で一つの経済圏を構成して、その中で完結しようとしています。ですから、今、
アメリカの企業は中南米にどんどん縫製工場も作っていますし、生産基地を移
動しています。そういう意味では、アメリカはそうやって北米と中南米で一つ
のブロック経済圏を作っていく。

 ではヨーロッパはどうなのだと言いますと、今度はEUという一つの固まり
を作っていきまして、先進国は東ヨーロッパにどんどん生産をシフトしており
ます。それから中近東、それからインドであります。

 日本では中国に生産をシフトしております。つまり、世界中のこれまで
ファッションの先進国であったところが、生産をすぐ隣の発展途上国に移して
いるということがあります。

 それから、ヨーロッパは、例えば、品質管理のISO9000シリーズ、環境問
題のISO14000 シリーズなどの資格を作りまして、これを取らない企業はE
U内では商品を売らせないなどということを決めています。環境問題と言って
も、最終的な目的は、EU圏内の産業を保護するためにやっているわけです。

 このように、世界のそれぞれに、それぞれを守っていくような体制があって、
参入はなかなか難しい状況です。

 それからもう一つは、結局、洋服というのは、ヨーロッパにルーツがある。
オリジナルはヨーロッパだということです。洋服というのは元々ヨーロッパの
文化なのですね。ですから、アジアの日本などという国が頑張って作っても、
コンピュータやテレビ、自動車はいいが、洋服はやはりイタリアだろう、など
と思っていますから、日本製の洋服を買いたいなどと思う人はあまりいないだ
ろうと思います。

 つまりそこに憧れがないのです。ファッションというのはやはり憧れなので
す。日本はアメリカに対して憧れを持っていました。韓国もアメリカに対して
憧れを持っていたと思います。ヨーロッパにも憧れを持っていました。そうい
う意味では、そこのブランドや憧れの対象となるようなところのものが欲しい
のです。憧れていないようなところのものはあまり買いたがらないわけですか
ら、そこに無理矢理売るというのは本当に大変なことだと思います。

 そういう意味で、今、日本にとってアジアの国々というのは、ありがたいこ
とに非常に日本に良い感情を持ってくれています。それは結局、衛星放送など
を通じて、日本のアイドルや芸能人、タレント、あるいは日本のアニメーショ
ン、ゲーム、コミック、そういうものがどんどんアジアに出ていっているから
だと思います。ポケモンやセーラームーン、キティちゃんなどのキャラクター
がアジアに浸透して、日本に対する憧れみたいなものが片方であります。

 もちろんヨーロッパ、アメリカに対する憧れもありますが、アジアの人たち
が日本に対する憧れは、ヨーロッパやアメリカに対するものとは少し違うタイ
プだと思います。もっと等身大の、同じアジア人、同じような民族、人種、同
じような顔をしている人が、少し自分たちと違うファッションをしている。そ
ういうものに対する憧れ、身近な憧れだと思います。まさにそこにわれわれと
しては期待が持てるのではないかと思います。

 これは、韓国のアパレルも台湾のアパレルも、流通も、例えば中国を狙って
いると思います。イタリアももちろん狙っています。日本も狙っています。

 前回2月に来たときに本当にびっくりしたのですが、韓国の人も日本人の若
い女性とまったくヘアー&メイクが一緒になってしまった。ファッションも一
緒になってしまった。区別がつきません。地下鉄に座っていたりすると全然わ
からないのです。数年前まではわかりました。やはり日本の若い女性のファッ
ション、ヘアー、メイクと、韓国の人のとは少し違っていましたが、ここに来
て本当に同じになりました。

 台北と上海もまったく同じになってきていると台北の人が言っていました。
ですから、同じ水準になった。これをどうするのですかということです。

 僕はこのアジアの共通したネットワーク市場(アジアネットワーク市場、ア
ジアリッチ市場などいろいろな言い方をしていますが)に関しては日本のノウ
ハウというものが生きるのではないかと期待しています。

 今回も、このファッションABCという会社が韓国でファッション業界、あ
るいはファッションピープルのためのポータルサイトを作るということですが、
その他にもリアルなほうのファッションビジネスにもどんどん関わっていこう
という考えをお持ちのようです。


 実は、既に日本のテキスタイルは韓国の人にかなり使っていただいていまし
て、特にミセス向けの少し高級なゾーンにおいては、日本のテキスタイルを非
常に多く使っていただいています。一方でヤングのファッションに関しては韓
国の東大門や南大門の製品が日本の専門店で販売されています。

 つまり、これからは輸出対輸入ということではなくて、場合によっては日本
から韓国に売る、場合によっては韓国から日本は製品を買う。お互いに補い合
うような関係という新しい関係ができるのではないか。そういう意味ではアジ
アネットワークの中でも最も近いのは日本と韓国であろうと僕は考えています。
ですから日本と韓国にまず太いパイプを作りたい。次は例えば台湾、次は例え
ば中国というような一つの流れを、これからインターネットとリアルなビジネ
スの両方で展開していきたいと思っています。

3.韓国と日本の連携によるアジア市場戦略

 韓国と日本は、歴史上いろいろなことがありましたが、非常に似ていると僕
は思います。韓国人と日本人も非常に似ています。似ているけれども違うとこ
ろもあります。違うところもありますが、世界の中で見たら、たぶん一番似て
いるのではないのかと思っています。

 そういう意味で、よく言われることですが、韓国と日本というのは一番近く
て一番遠い国かもしれません。似てると思うから逆に相手への思い込みが強く
なってしまう。それが実際は自分の期待とは違う反応が返ってくる。すると、
裏切られたと思い、腹を立てる。好きなのだが嫌い、嫌いなのだが好きみたい
なところがお互いにあるようです。兄弟ゲンカのようなものかもしれません。
その空気がここに来て非常に柔らかくなっているのを感じます。

 これはもちろん皆さまもご承知の2002年のワールドカップというものがあり
ますし、それからここへ来て日本の若い女性も韓国にどんどん旅行に来るし、
韓国の人も日本にどんどん行くし、実際の交流が始まっています。頭の中で、
「日本人というのはこうだろう」「韓国人というのはこうだろう」ではなくて、
実際に行って顔を合わせて話をして、一緒に仕事をしたり、一緒に勉強をした
りということが増えてきますと、やはり「近いな」ということを感じるわけで
す。

 特に僕が非常に重要な要素だと思っているのは、独自の言語を持っていると
いうことです。独自の言語でお互いに話していますからこうやって通訳をして
もらっているわけですが、日本は日本語という独自の言語を持っていますし、
韓国は韓国語、ハングルという独自の言葉と文字を持っています。これは非常
に重要なことだと僕は思います。

 やはり21世紀は、国際化、グローバル化と言われながら、片一方で自分たち
のアイデンティティを大事にする時代になると思っています。日本も韓国も独
自の言葉を守れたということは、アメリカやヨーロッパに完全に占領されな
かったということだと思います。自立を守った、独立しているということだと
思います。

 自分の国の言葉だけでだけで毎日生活していていて何の不自由もない。これ
がアジアの他の国に行きますと、英語が話せないと仕事ができない、生活が不
自由だ、これは非常に不幸なことなのではないのかと思います。そういう意味
で、両方とも独自の言語を持っている独立国なのです。

 それからもう一つ共通しているのは、日本も韓国もビジネスと言えば国内市
場だけを見ていたのではこれ以上成長できないことです。これは日本も韓国も
まったく同じです。

 それから、先ほども言いましたように、例えば日本のヤング市場は非常に変
化が激しい。これに対応できるのは、韓国のアパレルしかないかもしれません。
同時に、日本に比べたらコストも低いので、若い人が気軽に楽しめるファッ
ションを提供できるわけです。ですから、そういうものは韓国に頼らざるを得
ないと思います。

 これは少し別の分野の話なのですが、液晶がありますね、パソコンの液晶や
携帯電話の液晶。この液晶を作っているのは世界の中で日本と韓国と台湾だけ
です。世界一の液晶メーカーは韓国の三星電子でありますし、2位がLGのグ
ループです。現状、生産量全体では日本がトップですが、近い将来、韓国が液
晶で世界一になるでしょう。一方で、台湾も、凄い勢いで追い上げています。
もしかすると、その次のトップは台湾かもしれません。どこの国がトップかと
いう問題ではなく、日本と韓国、台湾は、ハイテク分野でも世界の中でトップ
を走っているという共通点を申し上げたかったわけです。

 そのハイテクは、ここで言えばインターネットでありコンピュータであるわ
けで、ハイテクという共通基盤の中でお互いに補え合える良いパートナーにな
れるのではないだろうかと思います。

 ですからぜひ日本のテキスタイルも韓国のアパレルにも使ってもらいたいし、
韓国のテキスタイルも日本で使いたい。日本の製品も韓国で紹介したいし、韓
国の製品も日本に紹介したい。人の交流ももっとやりたい。日本のデザイナー
が例えば韓国の市場で商品を発表する、コレクションを発表することも良いで
しょうし、韓国のデザイナーが日本の市場に対して作品を発表するのも良いだ
ろう。まさにそういう時代なのではないか。これはお互いに必ず良い影響を与
えるだろうと考えています。

 次のステップとして、韓国と日本というパートナーシップを元に中国を攻略
したいと僕は思っています。これはぜひ2005年からの新たな体制の前、2004年
ぐらいまでの間に何とか日本と韓国で中国に出かけていってビジネスを組み立
てたいとも思っています。その次は中国をそこに入れて、日本、韓国、中国と
いうチームでアメリカ市場やヨーロッパ市場を攻略したい、世界市場を狙いた
い。こういう夢を持っているわけであります。

 今いろいろ言ってきました一つは、中国という存在、一つは日本の中で起き
ている変化、それからやはり韓国と日本がパートナーとなることによる可能性
というお話をしてきましたが、今度はそれを結ぶのがインターネットというこ
とでありまして、ここでいくつが具体的なお話をしたいと思います。

4.インターネットが韓日を結ぶ

 先ほどシム社長のほうから韓国のファッションABCのポータルサイトの説
明がありましたが、実は日本でも同じ時期に3月27日付で「コロモ・ドッド・
コム」という会社を設立しました。これは日本のオンワード樫山、三陽商会、
サンエー・インターナショナル、ファイブフォックス、ワコール、東レ、帝人、
丸井、三井物産、三菱商事、住友商事、それからNTT−XというNTTの子
会社ですが、この12社が出資してできた会社です。ここは日本の中でアパレル
を中心としたファッションビジネスのポータルサイトを作り、ポータルサイト
だけではなくて、その情報基盤、サプライチェーン・マネジメントなど、コ
ミュニティやシステムを基盤整備をしていくための会社です。一応、私もその
コロモ・ドット・コムの顧問アドバイザーのような形で、いかにリアルな業界
とインターネットをつなぐかというお手伝いもすることになっています。

 このファッションABCにもこれから日本との交流も含めて、いろいろとお
話をしているわけですが、日韓双方でファッションのポータルサイトが立ち上
がるというのは、非常にタイミングもいいわけですし、特にこれが2002年に向
けてどのような形に成長していくのか非常に楽しみにしています。

 インターネットというのは、業界の窓口やまとめ役、情報基盤には違いない
のですが、もう一つの要素があります。インターネットと言うのは個人が非常
に力を持てる媒体です。例えば今回この韓国のファッションABCとうちのシ
ナジープランニングという会社がどうして出会ったかというと、まさにイン
ターネットで出会ったわけであります。

 実はシナジープランニングという僕の会社は j-fasion.net というサイトを
持っていまして、ここに業界新聞や業界雑誌に書いたような論文を全部載せて
います。それから会社案内、自分のプロフィールをすべて情報公開をしてサイ
トに載せていますが、なかなか反応はありませんでした。

 そこで、ある時、小さく「このホームページを英語、フランス語、中国語、
韓国語にボランティアで翻訳をしてくれませんか」ということを書いたのです。
すると1週間も経たないうちに台湾から2件メールがありまして、「翻訳しま
すよ」という話がありました。そのあと、フランスに留学している日本人の学
生さんから「フランス語、英語の翻訳ができますよ」と。それからイギリスで
ファッション、マーケティングを研究している大学に勤めている日本人の人か
らメールがあって「英語に翻訳しますよ」という話が出たのです。

 これはおもしろいと思って、もう少し発展させようということで「社友」と
いう概念を考えました。普通は社員と言いますが、社員というのは会社が給料
を払ってそれの見返りとして仕事をする、つまり契約です。雇用契約、あるい
は業務の契約をするということですが、例えばわれわれが新しく「日本と韓国
でこういうことをやりましょう」ですとか、「中国でこうやってビジネスを
やったらいいのではないか」というようなニュービジネスを立ち上げるときに
は、人を雇うというのは非常に難しいわけです。お金が儲かっていれば給料を
払いますが、小さい会社で、まだプランニングの段階でお金を払うというのは
非常に大変なわけです。

 それからもう一つは、ある会社に所属している人間が他の会社の仕事をやる
ということは基本的にできないですね。でも例えばボランティアやNPO(非
営利法人)のような、仕事ではない活動をしたいという人はいるわけです。

 会社という一つのビジネスをやる組織に於いては、社員か部外者かという二
つしかないわけですが、僕はその中間のような存在ができないだろうかという
ことで「社友」を考えたわけです。つまり、お金は払わないよ。だけどうちの
会社がやろうということ、僕がやろうとしていることは情報公開するから、皆
さんに教えるから、「一緒にやりたい」「こんなことだったら手伝ってみたい」
とか、「僕もやりたい」「私もやりたい」という人がいたら一緒にやりましょ
う。もし結果が出て利益が出たらシェアしてきちんと分けましょうという概念
を作ったのです。

 それには、何をやりたいのだという会社のミッション・ステートメント、使
命、「うちの会社はこういうことをやりたいのだ」「こういう社会的な使命が
あると思っています」ということを載せようと言うことで、その j-fasion.
net というサイトにそれを載せました。「社友を募集」と載せたところ、かつ
て一緒に仕事をしたことがある韓国のファッションABCのスーパーバイザー
をやっている金さんからメールがあったのです。

 今年に入ってからメールがありまして、「久しぶりですね。お元気ですか」
というような話から始まりまして、「韓国でポータルサイトを立ち上げようと
している会社にいるのですよ」「そうですか」と。そして、この社友というの
は非常におもしろいので、そういうものも含めて、あるいは日本との提携がで
きないだろうかという話から始まりました。

 「まず一回韓国で会いましょう」と言って会ったのが2月です。今こうして
お話ししているのが4月です。3月に今度は韓国の人に日本に来てもらって、
僕がやっているテキスタイルの展示会などを見てもらったり、そこでいろいろ
日本の人を紹介してというような交流が始まりました。

 これはインターネット時代の新しいコミュニケーションです。そういうこと
から新しいビジネスが生まれてくるのではないかという可能性を、今回、僕自
身も非常に感じています。今までとは違う。しかも韓国と日本、両方に信頼で
きる仲間がいる。この「仲間がいる」ということが、またそこからいろいろな
ビジネスに発展していける。結局、ビジネスというのは、最終的に人間と人間
の信頼関係で動いていくものです。その信頼関係を今までは会社という単位で
とか、信頼関係を確認することはなかなか難しかった。そこにインターネット
という一つの媒体が生まれてきたということです。

 ですから、このファッションABCというサイトが立ち上がった段階で、韓
国の中でぜひファッションABCの社友というようなものも立ち上げていって、
できれば日本のわれわれの仲間と何かできないか。その次はぜひ台湾か中国で
中国語のそういうページを作って、そこで新しいコミュニケーションを広げて
いきたいと考えているわけであります。

 これは事例の一つですが、日本にファッションビジネス学会という学会があ
ります。実は韓国にも韓国ファッションビジネス学会があります。これは日本
のファッションビジネス学会の支部が独立したものです。この会場の中にも韓
国ファッションビジネス学会の会員の方がいらっしゃるかもしれませんが、そ
ういうものが両国にあります。

 たまたま今年、そのファッションビジネス学会から「ぜひ坂口さん参加して
ください」という話がありまして、こうした韓国とのつながりもあったもので
すから、ではアジアネットワーク研究部会という部会であればぜひやってみた
いというような話をして、それがだいたい決まりまして、「アジアネットワー
ク研究部会」というものを立ち上げることになっています。

 これはインターネットを活用した活動になると思いますが、ぜひ韓国の人も
参加してもらいたい。もちろん言葉の問題もありますが、それは翻訳をしてく
れる人を募集して、韓国の人と日本の人たちが、これは直接ビジネスというわ
けではありませんが、アカデミズムの世界でも交流をしたいと思っています。

 たまたま7月26、27日に日韓ファッションビジネス学会学術交流会議が東京
で開かれるわけですが、そこで急遽「アジアネットワークについて話せ」とい
うことになりまして、研究発表をするということになっております。

 これもこれから詰めていかなければいけないわけですが、そうしたことも含
めて、ここに来ていらっしゃる皆さんと何か一緒にできないのかなと考えてお
ります。

 実はもうすでに日韓のファッションビジネス・プロジェクトは動いていまし
て、2月に韓国に来たときに、今度新しくできたSFTという会社に伺いまし
て、ぜひ日本のテキスタイルや製品、ブランドを韓国に導入したいというお話
をいただきました。僕も日本に帰ってから、今度は日本の代表的な専門商社で
すが、市田という歴史のある会社に話をして、きょうもこの会場に市田さんと
SFTさんが揃ってお見えになっているわけですが、今までとは違う新しい取
り組みを、両国の企業が提携して展開していこうということがちょうど動き出
しました。

 これは、今まで日本が韓国に期待していたもの、例えば、韓国生産というも
のとは根本的に異なる取り組みだと考えています。どちらかが一方的に日毎を
依頼するのではなく、例えば、共同でブランド開発を行い、日本市場と韓国市
場で同時に販売する。あるいは、同じブランドの商品をあるアイテムは、韓国
で作ってそれを日本が輸入して日本でも売るし韓国でも売る。あるいは逆に日
本のテキスタイルを韓国で縫製して日本でも売るし韓国でも売るというように、
二つの国が輸入や輸出ではなくて、自分たちの持っている技術や資産、生産す
る商品、商材、材料、素材を自由に駆使して組み立てて新しいビジネスをやっ
ていくようなことをぜひやってみたいと思っています。

 まさにこれもインターネットがなかったらできないわけです。インターネッ
トという一つの媒体があるからこそ、そうしたビジネスも可能になっているし、
日々われわれはまったく同じ国にいるようなコミュニケーションをとることが
できるわけです。

 そうした学術的なこともビジネスも含めて、同時に日韓のいろいろなプロ
ジェクトが動き出したというのは、僕自身の中でも非常に実感しているわけで
あります。

 先ほど言いましたように、日本も韓国も独自の言語を使っています。もちろ
ん中国もそうですが、中国語に関しては独自の言語と言うよりは、東南アジア
諸国はみんな華僑がある程度経済の実権を握っている部分もありまして、中国
語というのは中国だけではない、いろいろな国で使われているわけです。日本
語とハングルというのは、ほとんどお互いの独自の国の中でしか使われていま
せん。

 これは今まではネックになっていたと思いますが、今後、翻訳ソフトができ
ることによって、例えばホームページ、ウェブサイトがすぐ翻訳できる。日本
語のウェブサイトは今でもそれはできていますが、あるいは韓国語のサイトが
日本で翻訳できる、あるいはハングルと英語と日本語、そして中国語も入った、
そういう翻訳ソフトがこれからどんどん発展していきますと、お互いに国内の
人間とメールのやりとりをしているという感じで海外と連絡が取れるのではな
いかと思います。

 そうした技術もこれからおそらくどんどん出てくるし、ぜひファッションA
BCさんにもそうしたことにもチャレンジしていただきたいと思いますし、一
方われわれはインターネットという武器を使って何をやるのだ、どのようなビ
ジネスを展開していくのだということを考えたいと思っています。

5.2002年を韓日ファッションの幕開けの年にしよう

 製造業ということだけを考えますと中国だけが一人勝ちで、日本も韓国も繊
維産業がだめになってしまうように思いますが、実は最終利益を獲得している
ところというのは、やはりマーケティングをやっているところやブランドを
持っているところなのです。

 ですからアメリカなどは、「今何ができるのですか」「何が作れるのですか
と」と言うと何もない。全部海外で作っているわけですが、アメリカが全部利
益を持っていっているわけです。知的所有権の問題もそうでしょう。マーケ
ティングもそうでしょう。

 われわれはこれからモノも作りますが、マーケティングも本当に考えていか
なければいけないわけです。やはりアジアという多民族、多言語、非常に複合
的な市場の中でマーケティングを展開していくには、アメリカのように自分の
国の文化を世界に押しつけるというのではなく、僕らもネットワークで対応す
る。

 ですから、単独でやるのも良いのですが、日本、韓国、中国、台湾、香港、
みんなお互いにネットワークの中で、各市場の中でビジネスをやっていくとい
う競争になるのではないかと思います。日本対韓国ということではなくて、日
本と韓国のAチーム、日本と韓国のBチーム、中国も入れたCチーム、Dチー
ム、それがお互いに競い合う。そういうことをやりながら、連携をしながら競
争をしながら一つのアジアネットワークというものを作り上げながら、そこで
ビジネスをしていくのだというようにこれからしていきたいと思います。

 そういう意味で、2002年にワールドカップもあります。テグでテキスタイル
のエキスポもやるという話も聞いております。日本側も韓国の企業と一緒に何
かをやろうという意欲がまだ必ずしも高くはないのですが、僕もこれから何と
か努力をして、2002年、来年を「韓日ファッションの幕開けの年」にしたいと
思っています。

 これはもしリアルの世界で無理であれば、これから企画を練りに練って、ぜ
ひインターネット上で韓国と日本を結ぶファッションイベントを企画したいと
思っていますので、またその節は、皆さんもぜひ楽しみにしていただいて、応
援していただければ嬉しいと思います。

 ということで、時間が来たようですので、これで話は終わりにしたいと思い
ます。どうも長い時間ありがとうございました。(完)◆