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074,日本発の「対アジア」ブランド戦略の提案
2001/04/03
チャネラー5月号が出ました。連載の「新市場への新ビジネス提案」は、日
本発の「対アジア」ブランド戦略の提案です。
この原稿は、2月に韓国に行った直後に書いたのもので、それだけに「もう、
これっきゃない」という意気込みが出ていると思います。
私は、一貫して、日本国内メーカーの生き残りには、海外とのネットワーク
構築が不可欠であると主張しています。
そう考えるほどに、効果のない「TSG」にばかり気持ちが向いている日本
の産地は危険な状況と言えます。
中国がWTOに加盟すれば、一般の民間企業がどんどん輸出できるようにな
ります。これを大チャンスととられるか、この世の終わりととらえるかは、そ
の人のビジネスセンス次第です。
チャネラー連載「新市場への新ビジネス提案」第20回
■日本発の「対アジア」ブランド戦略の提案■
有限会社シナジープランニング 坂口昌章
●アジア市場に睨んだブランド開発戦略
日本のアパレル業界は、輸入品や外資に押され苦戦を強いられている。これ
は日本だけの現象ではない。韓国、台湾等も、中国からの輸入圧力により、国
内市場、海外市場共に苦戦を強いられている。
こうした現状を打破するために、日本を含むアジア諸国は、日本、韓国、台
湾、中国を一つの市場と考え、それぞれのネットワークによるビジネスを模索
しようとしている。先日も、韓国の大手商社の担当者と会談したが、「アジア
市場という視点でビジネスを構築したい。ついては、日本のテキスタイル、製
品の輸入やブランドライセンス等を強化したい」と語っていた。
日本のアパレル業界は、欧米の既製服ブランド、デザイナーブランド等との
ライセンス提携によって発展してきた。しかし、日本市場が成熟した段階で、
欧米のブランドライセンサー企業は、ライセンスを引き上げ、自らの手でビジ
ネスを再構築しようとしている。
日本のアパレル企業も、欧米とのライセンスブランドに依存することを危険
だと感じている。自前のブランドを開発、育成し、ビジネスの柱にすることを
目指しているが、その道のりは険しい。
そこでいくつかの提案をしたい。
第一に、ブランド開発にあたり、アジア市場もターゲットとして設定するこ
と。勿論、中心は日本市場で良いが、その商品が韓国や台湾、中国で販売でき
るかということも視野に入れて検討する。それによって、市場規模が数倍にも
広がるだろう。
第二に、アジア諸国の企業との提携による製品輸出、ブランドライセンス供
与を視野にいれる。日本のアパレル業界が欧米のブランド提携により発展した
ように、アジア諸国のアパレル企業は日本のアパレル企業との提携により発展
したいと考えているだ。
第三に、その提携企業を生産のパートナーとしても認識すること。例えば、
韓国の企業と提携するのならば、日本がブランド開発を行い、デザイン、パ
ターンメーキング等を担当し、韓国の企業に生産を委託する。その製品を日本
が輸入し、展開する。同時に、韓国の提携企業は韓国市場で商品を展開するの
である。この場合、商品の生産に対する費用と、ライセンス費用を明確に区分
する必要があるのは言うまでもない。
素材調達に関しては、必要に応じて、日本のテキスタイルを輸出したり、素
材の現地調達を行うことになるだろう。
第四は、提携企業グループによるアジア市場の同時ブランド展開である。こ
こまで来ると、どの国の企業が生産し、どの国の企業が販売するかを、自由に
組み合わせることになるだろう。欧米からのブランドライセンスだけでなく、
アジアの企業が直接欧米のデザイナーと契約したり、オリジナルのブランド開
発を共同で開発するという段階になる。
●公開すべき情報と非公開の情報
こうした業務を推進するには、国境を超えたコーディネート機能、プロ
デュース機能が必要になる。弊社、シナジープランニングもこの役割を目指そ
うと考えている。ジャパン・ファッションのプロデュース及びアジア・ファッ
ションのプロデュースということになろうか。
そして、この機能を果たすためには、インターネットが重要なツールになる。
ビジネス展開には、オープンな情報システムとクローズドな情報システムの
双方が必要だ。情報の段階ではオープンであっても、実際に商品を動かすこと
になれば、限定されたメンバー間の情報伝達が必要になる。
例えば、新人デザイナーの発掘は、常に行わなければならない。次々とデ
ビューするデザイナーの資質を見極め、必要があれば、ビジネスをプロデュー
スする。
素材開発に関する情報も常に仕入れなければならない。新たな素材開発の情
報を入手すれば、ただちに、それが新たなビジネスチャンスに結びつくかを判
断していく。
勿論、小売店や流通の情報を必要だ。新しい小売店がオープンすれば、そこ
にふさわしい商品の供給を検討しなければならないだろう。
常に新しい情報収集は必要だが、一方で、ビジネスパートナーとは密度の高
い情報交換が必要になる。例えば、新しいビジネスチャンスを感じたときに、
新しいサプライチェーンを構築しなければならないが、それには互いの信頼関
係が必要である。情報を全て公開すれば、コピー商法を許すだけだ。特に、ア
ジア諸国では、日本以上に知的所有権を無視する事例も多いので注意が必要で
ある。
情報のコントロールと共に重要になるのが、言語の問題である。欧米は英語
だけでビジネスが完結するが、アジア市場は多言語であり、それぞれの言葉を
翻訳する必要がある。「翻訳より、英語を覚えるべきだ」という意見もあるが、
現地の言語による情報の方が質量共に圧倒している。日本が良い例で、英語で
公開されている情報は非常に限定的だ。欧米企業も日本市場を攻略しようとす
れば、日本語の情報を分析しなければならないはずだ。このことは、韓国も中
国も同様である。
●ビジネス・コミュニケーション・サイトの構築
B2Bと言うと、すぐにコマース(商取引)だけを想像するが、コマース以
前にコミュニケーションが必要である。本来、インターネットの最も重要な機
能はコミュニケーションであり、インターネットは、コミュニケーション・
ツールである。
コミュニケーションには、人的コミュニケーション、企業間コミュニケー
ション、金融コミュニケーション、技術コミュニケーション、商業コミュニ
ケーション、文化コミュニケーション等がある。ビジネスという行為はこれら
が複雑に絡み合ったものであり、そうしたビジネス・コミュニケーションを円
滑に総合的に進めるためのサイトが「ビジネス・コミュニケーション・サイト
(BCS)」である。
B2Bサイトは、eコマースサイトであるだけでは不十分であり、BCSを
目指すべきなのだ。そのBCSの運営の核となるのは、コーディネート機能で
あり、プロデューサー機能である。これは個人が担うしかない。システムも
コーディネートを支援してくれるが、万能ではない。
これは、ネルトン・パーティと仲人の違いである。パーティーは当事者だけ
のコミュニケーションである。従って、当事者同士のコミュニケーションが破
綻すれば、それを補うシステムがない。仲人が介在することにより、コミュニ
ケーションは客観的なものになり、トラブルを解決する方法を提示することも
できる。従って、インフォミディアリと呼ばれる情報仲介業が必要になるのだ。
アジアにおけるBCSの条件は、多言語に対応すること。アジア内部のネッ
トワーク及び欧米とのネットワークである。
欧米とのネットワークは、これまでのように欧米のブランドや製品をありが
たがるのではなく、アジアにおけるファッションビジネスのリソースとして活
用するという視点が必要だろう。あるいは、欧米とアジアの棲み分けを明確に
意識すべきである。
アジアネットワークのビジネスチャンスは、これからも増え続けるだろう。
日本という小さな範囲でビジネスを考えるのではなく、少なくともアジアネッ
トワークで発想することが必要なのだ。
日本という豊かで特殊な市場で生活していること。日本語という閉鎖的な言
語を持っていること。中国という凄まじい生産力のある国が隣接していること。
アジアの国々が日本に対して憧れを持っていること。これらは皆、財産であり、
ビジネスチャンスにつながるのである。◆
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