|
039,シナジープランニングの経営戦略
2000/07/13
今回は、弊社(=個人ですが)の経営戦略について整理したい。(私自身の
頭の整理ですが)
弊社は、社長一人の会社ではあるが、戦略立案には基本通り日本の繊維産業
全体の状況について考えている。
1.経営戦略の背景となる環境変化
経営戦略の背景となる環境の変化について、下記のようにまとめてみた。
第一に、IT技術の発展。特にインターネットの活用が容易になってきたこ
と。
第二は、国際環境の変化。特に、中国のWTO加盟と2005年から始まる
繊維製品の貿易自由化が重要なファクターとなる。
第三は、国内流通の再編。ジャパン・クリエーションは、イベントとして軌
道に乗りつつあるが、実質的な商談については、これから様々な基盤整備が必
要になるだろう。
第四は、就職難による若者の起業家精神の高まりである。ラフォーレ原宿の
「エルファクトリー」の試みは失敗に終わったが、やりようによってはイン
キュベーション・ビジネスには可能性がある。ファッション業界は不況にあえ
いでいるが、ファッションビジネスを目指す若者は数多い。このギャップに
チャンスがある。
第五は、既存の流通システムの崩壊に伴う、産地企業の自立意識の高まりで
ある。現在のアパレル流通は、流通コストの比率が高すぎる。必要な機能を
ネットワークすることにより、流通コストの削減は可能であり、産地企業のビ
ジネスチャンスは十分にある。
第六は、省庁再編と繊維産業政策の変化である。今後、「繊維」という冠の
ついた特別な補助金や助成金はなくなり、一般産業なみの中小企業政策となる。
このことは、業界団体や組合等の再編をも意味する。中央集権システムに基づ
く出先機関ではなく、会員企業を顧客とする情報・サービスNPO(非営利法
人)への転換が求められている。
第七は、雇用システムの変化と人材育成システムの変化である。終身雇用・
年功序列給制度が崩れ、能力主義、実績主義による評価制度が定着しつつある。
そのため、大学や専門学校も従来の閉鎖的な教育システムではなく、いわゆる
「実学」の教育が必要になっている。今後、教育カリキュラムの変革等が急激
に進む。また、企業側も、ボトムアップを基本とした管理職養成から、ビジョ
ンを提示できるリーダーシップの養成が必要になるだろう。
第八は、高齢化社会の到来とユニバーサルデザイン、バリアフリーの普及で
ある。企業経営は、これまでの経済合理性だけでなく、社会性、公的利益とい
う視点が必要になる。
2.弊社の経営資源
経営戦略立案のために、弊社の経営資源について下記のようにまとめてみた。
第一は、インターネットのWEBが利用できること。インターネットによる
低コストの情報発信が可能であり、既に、「www.j-fashion.net」 を立ち上げ
ている。また、ジャパン・クリエーションの公式サイト「www.japancreation.
com」 の構築と運営の業務委託を受けており、WEBマスターを勤めている。
第二に、情報コンテンツの作成が可能である。現在、業界紙等への寄稿のほ
か、独自のメディアとしてメールマガジン「j-fashion」を約600名に配信して
いる。同時に、週刊で「Japancreation News」も発行している。
第三は、ジャパンクリエーション総合コーディネーター、桐生テキスタイル
プロモーションショー総合プロデューサー、尾州テキスタイルデザイナー協会
顧問アドバイザー等の仕事を通じて構築した、テキスタイル、きもの、縫製、
ニット等の業者との人的ネットワーク。つまり、サプライ・チェーン単位での
提案やコーディネートが可能である。
第四は、文化服装学院、法政大学等、教育機関とのネットワーク。産学連携、
ベンチャー育成等の提案等が可能である。
第五は、ファッション業界のコンサルタント等との人的ネットワーク。国内
外からの様々なビジネスニーズに対応することが可能である。
第六は、通産省、繊維関連中央八工連等とのネットワークである。繊維関連
政策、公的事業等に対する提案、情報収集等が可能である。
第七は、ファッション業界に広がる人的ネットワークである。幅広い情報収
集及びプロジェクトチームの構築が可能である。
3.経営戦略を実行するためのパートナーシップ
弊社は、何の資産も設備もない。したがって、何らかのビジネスを展開しよ
うとすれば、他社あるいは他者とのコラボレーションを考えなければならない。
他社、他者とのネットワーク、コラボレーションを考える上で重要なことは、
相手のメリットも考えなければならないということである。自らの利益のみを
追求するのではなく、パートナーも自分も相互に利益を上げられる企画を立案
しなければならない。
さらに、マーケティング・インを基本に考えるならば、その上に、顧客の利
益が必要になる。つまり、自社、パートナー、顧客の3者が共に利益を享受で
きるようなビジネスプランが必要になるのである。
また、弊社は、いかなる系列にも所属していないし、大企業との下請け関係
にもない。完全にインディペンデントな企業(個人)である。誰に遠慮するこ
となく、自由にビジネスプランを立案することが可能であり、誰とでもパート
ナーシップの関係を結ぶことが可能である。
以上のことから、特に、パートナーシップ、ネットワークをいかに組織する
か。コラボレーションをいかに実現するかが課題になる。
通常の場合、企業と企業、企業と個人のネットワークは、商取引や業務委託
等の力関係が土台になる。しかし、弊社では、コンサルティングや指導等と
いった業務であるため、クライアントとの関係は基本的に対等である。した
がって、商取引等の力関係はほとんど存在せず、「契約による関係」「雇用に
よる関係」「インフォーマルな関係」が主なネットワークである。
契約や雇用による関係は、具体な業務や報酬が発生しない限り、生じない。
したがって、企画立案等の段階では、インフォーマルな関係に依存することに
なる。
弊社では、今後、様々な新規事業やベンチャー企業を立ち上げる予定である
が、これらをインフォーマルなネットワークに依存していたのでは、実現は困
難だろう。
そこで、積極的に「新規事業開発のための企業連合」を構築していく必要を
感じている。
コンサルタントは、基本的にクライアントからの依頼を前提に問題を分析し、
改善提案や新規企画の提案を行う。従って、契約を締結しない限り、クライア
ント企業に対して提案を行うことはない。
クライアント企業がコンサルタントに業務委託したり、コンサルタントがク
ライアント企業に対して提案を行うのではなく、互いに対等のパートナーとし
て新規事業を前提とした企業連合を組織するという発想である。複数の企業が
互いに機密保持契約を交わし、新規事業に関して対等のパートナーシップを結
ぶというものである。
勿論、各々の企業が独自の企画を立案する場合は、その情報を共有する義務
はない。各々の企業が独自に事業を展開すればいい。あくまで、パートナー企
業間で提案された企画やアイディアに関しては、必ず、協同でビジネスを展開
するというものである。リスクや利益配分等の詳細については、改めて契約を
交わすことになる。
つまり、ある意味での友好条約であり、有事の時に、効力を発揮する企業連
合と考えれば良いのである。こういう発想ならば、企業外部の専門家やコンサ
ルティング企業と気軽にネットワークを組織することができるのではないだろ
うか。
また、企業と個人の間も、同様のネットワークを考えたいと思う。
企業と個人の関係は、雇用か業務委託が基本である。しかし、どちらも給与
や報酬が発生しない限り、関係は結べない。しかし、具体的なビジネスが発生
しなくても、企業ビジョンに賛同する個人と企業間で、「友達」のような関係
が結べれば、互いに意見交換を行うことが可能になる。実際に事業が具体化し
た場合には、企業と個人が契約を結ぶこともあるだろう。現在の「社員」とい
う関係ではなく、もっと曖昧で軽い関係。たとえて言うならば、「社友」であ
る。
個人の場合も、誰とでも友達になれるわけではない。気が合うことが大切で
あり、企業においてはビジョンに対する共感、互いの能力に対する信頼等と
いった条件が付くだろう。ある意味では、「社友試験」のようなものが必要に
なるかもしれない。
「社友」もまた、企業と個人が機密保持契約を結び、秘密と約束は守るとい
う約束をする。ビジネスが発生し、利益が発生すれば、それを分配するのであ
る。本格的な事業展開が始まれば、その時に雇用契約や業務委託契約を締結す
ることになるのである。
通常の場合、「社友」には報酬が発生しないので、具体的な義務や権利が生
じるわけではない。別の企業に所属していても構わないし、学生でも、主婦で
も良い。別の企業に所属している場合は、個人が守秘義務を守ることになる。
「社友」は具体的な職種ではない。また、全ての「社友」が平等の待遇を受
けるわけでもない。これは、一般の友人関係と同様である。親友もいれば、軽
い付き合いの友人もいる。互いに裏切らない、約束と秘密は守るというのが最
低の条件となるだろう。
弊社は、社長一人の個人企業であるが、複数の企業と連合を結び、数多くの
社友を獲得することを条件に、様々な事業計画が立案できると考えている。
この企業連合、社友に関しては、別途企画書を作成し、ホームページに公開
する予定である。
インターネットという情報媒体は、企業の組織の枠組みをも変えるのではな
いか。私は、利益を追求する企業と、非営利法人であるNPOやNGOの際が
崩れてくると考えている。また、国境という問題も乗り越えてしまうのではな
いか。(世界中に生産基地を持っている企業にとって、輸出とか輸入という問
題は単なる手続き上の問題でしかない)
企業となんだろう。政府とはなんだろう。
資産がなくても、アイディアと経営計画さえあれば、資金とリソースが集ま
る世界は、既存の秩序を破壊するパワーを持っている。収入や社会的地位だけ
をアイデンティティとしてきた人たちには認めたくない世界だろう。
昨日の選挙にも考えさせられた。
候補者の名前を連呼したり、テレビでイメージ選挙をしている政党は、国民
を馬鹿にしている。しかし、その期待に応えるかのように、選挙民は二世議員
に投票する。そこには、実力主義もなく市場原理もない。誰に投票しても同じ、
という諦めと、投票したい人がいないという落胆。
小選挙区制と比例代表制を持ちながら、小選挙区にも党の論理を持ち込み、
個人の意志を圧迫する。そして、小選挙区で落選した候補者が比例で当選する。
何じゃ、これは!
なぜ、政治家とはああも魅力のない人たちの集合なのだろうか。実業界には
もっと面白い人が沢山いるのに。そういう人たちが出て来ないという現実は、
やはりシステムが悪いのではないか。(逆に、今の屈辱的な選挙システムがや
る気のある人を排除し、既得権を持つ政治家を保護しているという見方もでき
る)
そもそも政治家、議員という当事者しか政策立案に関われないということが
おかしい。議員の退職金削減や議員数の削減などは、誰も提案しないだろう。
むしろ、生活者が政策を掲げ、その政策を推進してくれる政治家を選ぶべきで
はないか。
こうした根本的な課題を解決するパワーをインターネットは持っている。政
治問題については、機会を見て、また提案したい。(こうして考えることや課
題が多くなり、自分が何をやりたいのか混乱してくるのだ。そのために、今回
の戦略をまとめているのだが)
今日のところは、企業戦略の話である。企業のあり方そのものについて、可
能性を考えてみた。
なかなか具体的な戦略に行けないがご容赦を。
4.経営戦略遂行の組織
現在のシナジープランニングは有限会社である。個人が自分のやりたい仕事
をするのであれば、有限会社で十分だし、ある意味では有限会社の方が適して
いると思われる。従って、現在の有限会社は個人カンパニーとして残し、今後
の新規事業に関しては、別法人の設立を考えたい。こちらは、ある意味で公的
(パブリック)な組織である。
公的な組織として、3つの組織形態が考えられる。
第一が、国内の「株式会社」である。株式会社は最低1000万円の資本金
が必要である。最終的に上場を目指し、ストックオプション等を導入すること
を条件にすることで、出資者のメリットを強調することが可能である。企業連
合による新規事業の立ち上げの場合は、株式会社の設立が適しているだろう。
第二が、「NPO(非営利法人)」である。NPOの設立には資本金が必要
ない。設立手続きも簡単である。(活動内容に公益性があるかを問われる)
法人としての銀行口座が設けられ、また、公的団体からの助成金等の受け皿
としても認定されている。非営利法人といっても営利事業が禁止されているわ
けではなく、資本家に対して配当が禁じられているだけである。営利事業によ
る利益には、通常の法人並の税金が課せられる。内部留保や従業員への報酬も
認められている。つまり、配当のない会社という理解もできる。アメリカでは、
ベンチャー創業時にNPOを選択するケースも多い。 NPOという語感には
ボランティアを連想させるものもあり、その意味で社会的に認知されやすいと
いうメリットもある。
第三が、海外法人である。法人設立に有利な条件を持つ国や州は数多いが、
代表的なのは、アメリカのデラウェア州で登記するデラウェア法人が有名であ
る。デラウェア州では、法人設立時の最低資本金制度がない。資本金は、法人
を設立してから市場で調達するという発想である。また、法人設立の登記はア
メリカ国籍でなくてもよい。つまり、日本人が資本金ゼロで法人を設立するこ
とができるのである。
法人税は、当期利益の8.7%と売上税が一法人あたり75ドル課税される
が、州外で上げられた利益に対しては非課税である。しかし、登記維持のため
に年間50ドル程度の登録税を納める必要がある。日本で営業して利益が上が
れば、日本で納税すれば良いのである。
マイクロソフト、マクドナルド、ボーイング、シティバンク等の一流企業だ
けでなく、フォーチュン誌上位500社のうち半数、ニューヨークの証券市場
に上場している企業の三分の一がデラウェア州法人である。[参考:「1ドル
からはじめるeコマース/リッチワールド編著(オーエス出版社)
以上の3つの形態をそれぞれのプロジェクトの性格に合わせ選択し、事業展
開していくものとする。
5.事業のドメイン
通常、事業ドメインは、経営資源、リソース等から判断し、絞り込まなけれ
ばならない。
しかし、弊社は企画そのものが事業ドメインであり、自社でできない範囲に
関しても、ネットワークで行うことができる。あるいは事業企画そのものを販
売するという方法もある。逆に言えば、形となる経営資源はほとんどないので、
何でもできるということも言えるだろう。(弊社の経営戦略を公開しようと
思ったのも、ここに理由がある)
ここで設定する事業ドメインは、弊社が実践できるか否かという基準ではな
く、プランニングできるか否かで判断するものである。
また、全ての分野において、IT活用(インターネット等)を積極的に行う。
最早、IT活用は当然であり、特に、SOHOにおいては必要不可欠の要素で
ある。
(1)人材育成、教育部門
インターネットが最も活用される分野として教育分野があげられる。イン
ターネットがもたらす文化は、知識、知恵をより重要視するだろう。既に
ファッションビジネスも、モノを作る仕事よりも情報を創る仕事へと利益が移
動している。
モノを所有する幸せと教育によって内面が豊かになる幸せを単純には比較で
きない。しかし、これまでの社会があまりにも経済効率優先であり、不況と共
に経済一辺倒の価値観が少しずつ姿を変えているといえるだろう。
インターネット上では、フリーウエアの存在など、新しい共同体思想が育ち
つつあり、こうした価値観が育っていくことも予想される。
ドット・コム企業、ハイテク株、BtoBなど、インターネットによるビジ
ネスが過熱しているが、それ以上に脱・経済のムーブメントがあることを見逃
してはならない。
高齢化、雇用の流動化も教育ニーズを押し上げるだろう。これまで、日本の
学校は終身雇用に守られていた。企業社会とは一線を画し、学校は学校の世界
の基準で評価されていた。即戦力となる人材育成、実学が提唱されるなど、企
業社会での評価基準が学校にも適用されようとしている。つまり、教育の場に
市場原理が導入されようとしているのである。
これまでの学校は装置産業だった。校舎やキャンパスという不動産が必要で
あり、多くの教職員を雇用しなければならなかった。ある程度の規模を確保す
れば、あとは稼働率を上げれば良かったのである。
インターネットを活用した教育ビジネスは、不動産や過剰な雇用を必要とし
ない。ローコストオペレーションが可能であり、施設の稼働率を考えなくても
良いので、入学しやすいが卒業は大変という欧米並の学校運営が可能である。
ファッション業界を含め、どの企業も人材育成の重要性は理解している。し
かし、社内の人材に対して十分な教育プログラムを用意してくれる教育機関は
非常に少ない。ここにビジネスチャンスがある。
◆社会人向けインターネット・スクール
・インターネットを活用したビジネス・スクール。(ファッションビジネスか
らスタート)
・教材は、WEB上に置く。
・電子メールを中心にした課題。メーリングリストを利用した意見交換。
・自分の頭で考える力を養う。
・企業とのタイアップによるケーススタディ。
・既存の学校とのタイアップを検討。(通信教育コースを持っている学校)
・専門分野のコンサルタントのネットワーク。
・出資者を募り、株式会社設立を検討。(アメリカにも株式会社のインター
ネットスクールがある)
◆デジタル出版、DTPによる出版社
・DPT活用による小ロット出版。
・取り次ぎ、書店を通さないダイレクト・マーケティング。
・ハイパーテキストによるデジタル媒体による出版。
・WEBと紙媒体を連動させた出版。
・座談会、セミナー等と連動させた出版。
・生涯学習の教材となりうる出版企画。
・日本発の英語、韓国語、中国語等の情報発信。
・印刷会社等とのコラボレーション。
・株式会社、海外法人設立の検討。
(2)新SCM開発部門(B2B,B2C)
インターネット通信費や通信速度、容量等は、今後飛躍的に改善される。そ
れに伴い、新しいSCMのネットワークが生まれる。
しかし、既存のアパレル、流通企業は、余剰人員や非効率なビジネスを抱え
ており、後ろ向きのリストラさえ十分に実行できていない。株主を重視する経
営者ならば、中高年者の人員削減を行い、企業の活力を生み出す若年層の採用
を優先するだろう。社員の既得権を優先するあまり、新卒の採用を行えないの
である。
また、リストラ後にどのように企業を目指すのか、という明確なビジョンを
表明している企業もほとんど見られない。
こうした既存のアパレル企業、流通企業の多くは、自ら(企業及び企業に勤
める社員)の利益を優先し、いかに商品原価を抑制するかを考えている。商品
原価を抑制することは、見方を変えれば、消費者に割高な商品を押しつけ、国
内製造業者の利益を圧迫し、若年労働者の健全なる雇用を妨げているとも言え
よう。
既存のアパレル企業、流通企業は、問屋業態をベースにしている。アパレル
企業は縫製工場を持たず、百貨店は自前の販売員を養成していない。彼らの業
務の中心は管理である。サプライチェーンにおける管理職と言ってもいいだろ
う。勿論、それらの企業の花形も管理職である。
しかし、管理業務はITによって大幅に変化する。これまでの花形部署だっ
た営業やバイヤーが大幅に削減される可能性もある。
例えば、フリーのデザイナー、フリーのパターンメーカー、縫製工場、テキ
スタイルメーカー等をモノ作り担当プロデューサーがチーム化し、WEBプロ
デューサーが広告宣伝や決済システムを構築すれば、インターネットを利用し
たビジネスを展開することも可能である。
また、インターネットの中古車販売のように、商品原価を公開し、流通コス
トや手数料コストを加えて販売するというオープンな価格を訴求するビジネス
モデルが登場すれば、既存の業態は大きな影響を受けるだろう。
ITを活用し、必要な機能同士をネットワークしたビジネスモデルを提案す
ることは、ベンチャー創業を促し、実力のある人材を活かすことにつながるだ
ろう。
◆新人デザイナーのインキュベーション
・若手デザイナー、縫製工場、テキスタイルメーカーのコラボレーション
・ファッション専門学校、産地企業の連携
・「WEB+イベント」による新しい受注生産システム構築
・百貨店等の催事等との連動
・WEBを活用したデザインコンテスト開催
・NPO設立の検討
◆縫製工場、ニッターのファクトリーブランド育成
・デザイナーのフルコミッション制の報酬システム
・縫製工場とテキスタイルメーカーのマッチング
・百貨店等のPBとファクトリーブランドのマッチング
・ファクトリーブランド訴求のWEB構築
◆テキスタイル見本市支援情報ハブ構築
・テキスタイルメーカーの情報をアパレル企業に
・アパレル企業の情報をテキスタイルメーカーに
・双方の企業の情報データベース整備
・市場トレンド、店頭情報等の配信
・海外市場開拓の支援
・株式会社設立を検討
(3)海外ビジネス、国際交流部門
今回、弊社のホームページの隅に、「ボランティア翻訳募集」と告知したと
ころ、一週間も経たないうちに、台湾からレスポンスがあった。日本語のホー
ムページにも関わらず、海外の人が見ていることにも驚かされたが、それだけ
日本に対する関心が高いということだろう。
日本で生活し、仕事をしていることのメリットは多い。アジアの諸都市の
ファッション状況は、日本のそれと類似している。日本がたどってきたファッ
ションの流れと比較することで、それぞれの都市の現状や今後の方向性が予測
できるのである。
人件費やエネルギー費等の競争では勝ち目がないとしても、ノウハウ、シス
テム、ソフトという分野では、まだまだ通用する要素も多い。まだまだ、日本
の業界ノウハウが活かせる分野は十分にあると考えている。
日本の商社等は、海外の合弁企業等に惜しげもなくノウハウを公開し、技術
指導を行っている。イタリアのアパレル企業は、パターンのノウハウの流出を
防ぐために、裁断は社内で行い、縫製だけを海外に回すことが多いのと対照的
だ。知的所有権に対する意識が希薄であるとも言えるし、情報に対しておおら
かであるとも言えるだろう。
日本は欧米のノウハウを吸収し、独自のノウハウを確立してきた。その結果、
欧米以上に豊かな市場を育成することにつながった。こうした経験から、アジ
ア諸国にノウハウを伝え、市場を活性化させることが、最終的に日本企業の利
益につながる、と考えているのかもしれない。
私個人も、仕事のフィールドは日本国内と考えていたので、本気で海外に対
する情報発信を考えていなかった。しかし、ビジネスの国際化が進展した現在、
日本発の情報を必要とする海外企業も増えている。同時に、日本のファッショ
ン製品を世界に販売しよう、という動きも出てきた。いずれにせよ、情報化の
進展は、ライフスタイルやファッションの交流を盛んにするに違いない。輸入
か輸出か、という選択ではなく、輸出と輸入のバランスが問われるのである。
現在、機械による翻訳の精度も向上している。コンテンツはないが、語学に
堪能な人も大勢いる。完璧な翻訳を要求するよりも、まず情報発信を行い、コ
ミュニケーションを育てることが優先したい。
◆日本のファッション情報を韓国、中国、英語で情報発信
・日本のファッション情報を発信することで、海外ビジネスの情報を収集
・海外企業と日本企業のコラボレーションを仲介
・双方の情報を仲介
・アジアデザイナーを日本市場へのプロデュース
・日本人デザイナーをアジア市場にプロデュース
・海外法人設立を検討
◆日本の書籍をアジア諸国に翻訳出版する事業
・特に、中国語の翻訳を重視
・ファッション雑誌
・若者向き雑誌
・WEBと連動した出版、CD−ROM出版
◆日本のショップデザインを海外にプロデュース
・日本の個性的なショップを海外に紹介
・インテリアデザイナー、空間プロデューサー、VMD担当者、デコレーター
等の人材を海外にプロデュース
・海外法人設立を検討
◆海外デザイナー、モデリスト等の受け入れ及びプロデュース業務
・海外クリエイター、技術者の情報紹介
・人材と生産機能のマッチング
・人材と小売店PB戦略等とのマッチング
(4)コンサルティング業務
ITの進化により、ビジネス環境は大きく変化している。それに従い、企業
の事業領域、必要なノウハウや技術等も変化している。
外部のコンサルタントに求められるニーズも大きく変化しており、より実践
的で収益に貢献できる提案が求められていると言えよう。
様々な分野の高度な専門技術に加えて業界ノウハウを熟知していなければな
らず、個人で対応することは次第に困難になっている。また、クライアント企
業も、個人に依頼しただけで十分なコンサルティングが受けられるとも考えて
いないだろう。
インターネットを活用することにより、様々な分野のコンサルタントと連携
し、提案型のコンサルティングを実践することが可能になっている。
同様に、インターネットを活用することで、様々な分野のSOHO企業同士
が連携し、新事業に取り組むことが可能である。その場合には相手の企業との
信頼関係が何より重要になる。これまでの異業種交流から一歩進めた「新事業
のための異業種プロデュース」が必要になると考えている。
これまでのコンサルティング業務は、受け身だった。企業の要求に従って活
動していたわけだが、今後は企業に対し積極的に提案し、能動的なビジネスを
展開していくことを考えたい。
◆中小企業支援情報サービス機関の創設
・税理士、社会保険労務士、弁護士、弁理士、コンサルタント等が連携し、総
合的な中小企業支援を行う。
・補助金、助成金等の中小企業支援策についての学習と業務代行。
・インターネット時代の中小企業サービス機関の創設。
・NPO法人の設立を検討。
◆仮想シンク&ドゥ・タンクの創設
・ファッションビジネスに関するコンサルタントをWEB上でゆるやかに組織
化
・海外のコンサルタントにも呼びかけ、国際的なネットワーク
・ベンチャーヒジネス等のアイディアを積極的に提言、推進
(5)イベント事業
あらゆる場面でイベントが重要になっている。
最近の商業施設は、アミューズメント性がテーマになっている。同じ買い物
をするのならば、アミューズメントの要素のある施設の方が良い。アミューズ
メントの中でも、イベントは重要だ。ディズニーランドのように、常に新鮮な
イベントを連続して行うことが集客の鍵を握る。
産業振興、産地振興でもイベントを契機にして、個々の企業のやる気を引き
出すことができる。ジャパンクリエーションという見本市も、ある意味ではイ
ベントである。イベントの要素があるから、思い切ったことができる。個々の
企業が流通経路を短縮することは、既得権を持つ企業からのプレーシャーを招
く。一堂に会する一過性のイベントであれば抵抗も少ない。イベントで実験を
して、実際のビジネスを構築するのだ。
同様に、ITを活用したビジネスも、イベントによって孵化させることがで
きるのではないか。あるいは、以上のような様々なイベント自身をインター
ネット等を活用して、新しいイベントに仕立てることも可能だろう。
イベントによる実験。イベントによるベンチャー。イベントを契機とした
ネットワーク作りを企画していきたい。
◆ITとファッションとのコラボレーションイベント
・常に変化し、リアルタイムの情報配信が望まれるファッションコンテンツ
・ファッションコンテンツをITにより配信
・ファッションショーの配信
・ゲーム、アニメ等とのコラボレーション
・IT関連企業とファッションデザイナーのコラボレーション
・音楽とのコラボレーション
◆「TOKYO」をテーマにしたファッションイベント
・ファッション雑誌の数が最も日本
・ステイタスやライフスタイルではなく情報で変化する日本のファッション
・伝統的なスタイルを持たず常に変化する日本
・その日本の中心地TOKYO
・世界一アバンギャルドな情報最先端都市TOKYOで世界のヤングデザイ
ナーがコレクション
・リアルなコレクションとインターネットの融合
◆アジアと連携したイベント
・アジア諸国も日本同様、西欧文化を取り入れて経済成長達成
・豊かになるにつれ、独自のアイデンティティ構築の欲求高まる
・西欧とは異なるアジア独自の気候風土に基づくファッション
・ITによりグローバル化するファッションの発信
・アジアにも世界的なファッション拠点を
(6)ジャパンコンテンツ発信
ファッションビジネスにおいて、最終的に海外企業と差別化しうるのは、独
自の文化に基づく商品、ショップ、サービス等ではないだろうか。イタリア
ファッションが世界を制することは、イタリアのファッション文化が世界を制
圧したことを意味する。日本人がどんなに努力しても、イタリアが歴史的に
培ってきたセンスや技術に対抗することは困難だろう。
逆に言えば、日本人全員がきものを着れば、海外の企業に市場が脅かされる
危険性は少ないだろう。(日本人が海外生産すれば話は別だが)
独自の産業や技術を守れるのは、独自の文化を大切にする消費者の存在あっ
てのことである。日本の製造業を守る一つの方法は、それぞれの企業が日本独
自の文化に基づくモノ作りを追求し、日本独自の文化がどんなに素晴らしいか
を常に消費者に訴求することだろう。日本独自の民族衣装であるきもの産業が
衰退したのも、きものの素晴らしさを消費者に訴求することを忘れ、業者自ら
の利益を追求したからではないだろうか。
インターネットによってグローバル化が進む中で、独自の文化を守ることは
矛盾している印象を受ける人も多いだろう。
しかし、バーチャルとリアルの世界を二元的に考えれば、民族衣装を着用し
た生活の中で、グローバルなビジネスを展開することが可能である。また、翻
訳エンジンが進化すれば、独自の言語で、グローバルな情報発信も可能になる。
これまでも日本文化は西欧に影響を及ぼした実績がある。西欧にも通用する
独自性と歴史を持っているのは間違いない。
私は、グローバルな時代の究極の差別化戦略は、民俗独自の文化をコンテン
ツとするビジネスを展開することではないか。インターネット時代だからこそ、
日本独自のアイデンティティを大切にすることができると考えている。
◆きもので生活する男の会
・きもの着用者の減少、店舗流通の崩壊、価格の信用失墜
・きもの着用者、きもの生産者のネットワーク化
・着用者と生産者のコミュニケーション
・モニター販売(顔のみえる商品、顧客ニーズを生産者が把握)
・日本の伝統工芸を支える和様ライフスタイル
・全生産量の4%以下の男ものからスタート
・高齢化社会のライフスタイル提案
・NPO法人化を検討
◆伝統工芸を海外に紹介
・グローバルな視点で日本の伝統工芸を見直し
・世界の高額所得者に日本文化を訴求
・例えば、高額所得者に「茶室」を提案
・WEBを活用した文化活動
◆民族衣装ネットワーク
・21世紀は民族衣装の時代
・民族衣装研究の国際的ネットワーク
・西欧文明以外の価値観
・アジア、アフリカ等との連携
(了)
|