036,JC第2ラウンドは情報仲介サービス

2000/05/25

 世の中にはせっかちな人が多い。あるアパレル企業のトップは「ジャパンク
リエーションは、3年もたつのに何をやっているんだ。海外からのバイヤーも
来ないし、ビジネスにもなっていない」とのたまったそうだ。

 世界でも有名な「複雑な繊維流通」が、見本市を開催しただけで、全てが変
わると思っているのだとしたら、おめでたいとしか言いようがない。そもそも、
当のアパレル自身が契約書に基づくビジネスを確立せずに、平然と不法な返品
を繰り返しているではないか。既得権や利権がある人たちは、変革を望まない。
それは、アパレルも問屋も同様だ。

 また、「ビジネス、ビジネス」と唱えるのもいい加減にして欲しい。見本市
というシステムが最良とも決まっていないし、問屋流通がこれだけ行き届いて
いる日本において、簡単に見本市が機能するはずがないではないか。それでも、
ジャバンクリエーションは、公正なリスクと利益の配分を模索している。自ら
の存在を主張し、新たなビジネスチャンスに賭けているのだ。

 ジャパンクリエーションは確実に成長している。少なくとも、テキスタイル
情報の質と量は、飛躍的に増大したはずだ。この情報こそが重要なのだ。

 ということで、情報面でのJC第二ラウンドについて、2000年5月24
日付けの日本繊維新聞の連載「坂口昌章の日本印のファッション考」に下記の
通り、拙稿を発表した。


坂口昌章の日本印のファッション考(日本繊維新聞2000年5月24日付)

JC第2ラウンドは情報仲介サービス

有限会社シナジープランニング 坂口昌章

 元来、問屋は「商品仲介」と「情報仲介」を行っていた。この二つの機能は、
商品、情報が集中、集約してこそ意味を持つ。全国の数多くの産地と企業が
あったからこそ、集散地問屋の意味があった。また、全国の市場情報を把握し
ていたからこそ、問屋が機能していたと言える。しかし、産地企業が減少する
ことにより、呉服分野、産地問屋等では、メーカーの数と問屋の数に差がなく
なっており、集中、集約の構造が崩壊しつつある。同時に、輸入品が増えるこ
とにより、入手出来る市場情報が減少し、ここでも集中、集約の構造が崩壊し
ている。

 この構造的問題を打破するには、企業の提携、合併等により、重複したブラ
ンドや商品を整理統合し、商品、情報の集中化、集約化を促すことが急務であ
る。しかし、生地問屋、アパレル問屋の双方とも、同族経営、家業的経営の色
彩が強く、ダイナミックで戦略的な企業統合や流通改革は進んでいない。

 既存の問屋流通が崩壊することで、産地企業は新たな流通システムの構築の
必要性に迫られている。しかし、産地企業の多くは、問屋流通に依存していた
ために、川下流通との情報が断絶しており、産地、企業、それぞれの商品の情
報を伝える術を持っていない。

 産地展という手段もあるにはあるが、あくまで問屋流通の存在を前提にして
いたために、原則的に価格も表示せず、直接的な商談を目指していなかった。
ある意味で、補助金の消化事業であり、業界のお祭り的要素が強かったのであ
る。

 新たな流通システムを構築するには、まず産地企業が自らの存在をアピール
しなければならない。また、問屋の指示通り商品を作るのではなく、自らオリ
ジナルの企画を行わなければならなくても、発表の場がなかったために、その
きっかけを失っていたと言える。また、問屋経由ではない新規取引先の開拓が
急務となっていたのである。

 そうした、産地企業側のニーズに押される形で、繊維総合見本市「ジャパン
・クリエーション」(以下JC)がスタートした。産地企業にとって、JCは
画期的なイベントとなった。これまで情報が途絶えていた産地、企業、商品情
報が一気に開放されたことにより、集中、集約の効果が現れ、産地展では想像
のできない大量のバイヤーの集客が可能になった。

 また、オリジナル商品作りのきっかけとなり、新規得意先の獲得の場として
も、有効に機能している。アパレル等のバイヤーも、既存の流通ルートでは見
られない新しいメーカーや商品を発見できる。全国の多様な産地、企業が一堂
に会するため、他産地、異業種との交流が持たれるなど、有効な情報収集の場
になっている。同時に、様々な地域、流通段階の繊維業界人が出会う場であり、
商談以外の情報交換も活発だ。

 しかし、海外の見本市を経験している来場者(アパレル企業等)にとって、
JCは必ずしも満足のいく内容ではない。これは、見本市を中心とした業務ス
ケジュール、流通システムが確立していないためであり、また、問屋が果たし
てきた機能がそのまま欠如していることによる。

 その情報機能をどのように補完するかが、今後のJCの課題である。物理的
な意味で、企業と商品が集中する見本市はスタートした。次の課題は、いかに
それぞれの情報を集中させ、それを有効に流通させるか、というシステム整備
である。◆